絶望書店日記

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絶望書店主人推薦本
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』

冤罪、殺人、戦争、テロ、大恐慌。
すべての悲劇の原因は、人間の正しい心だった!
我が身を捨て、無実の少年を死刑から救おうとした刑事。
彼の遺した一冊の書から、人間の本質へ迫る迷宮に迷い込む!
執筆八年!『戦前の少年犯罪』著者が挑む、21世紀の道徳感情論!
戦時に起こった史上最悪の少年犯罪<浜松九人連続殺人事件>。
解決した名刑事が戦後に犯す<二俣事件>など冤罪の数々。
事件に挑戦する日本初のプロファイラー。
内務省と司法省の暗躍がいま初めて暴かれる!
世界のすべてと人の心、さらには昭和史の裏面をも抉るミステリ・ノンフィクション!

※宮崎哲弥氏が本書について熱く語っています。こちらでお聴きください。



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2001/4/14  本についてのまとめの話

 どうも、しつこいですが皆さんを混乱させたままでもなんですので、最後にまとめ。
 結局、直販や個人出版を流しやすくしたりと、主に分業を排するような方向でいろんな手を使ってなんとか状況を活性化してもらいたいと考えているわけです。
 最初に流通の細かい話を出してしまったため話を混乱させましたが、それはひとつの手段であって、『蜘蛛男』の広告を手掛けたであろう編集者の、峨峨たる巒壑を踏み越えて何としてでも読者のもとへ本を届けたいという荒ぶる魂を受け継ぐ創り手が増えてくれたらそれでいいわけです。

 何故こんなことが必要かと云うと、世の中には読みたい新刊がなくて困っている輩がいるのです。読みたい本がないなんて偉そうに見えるかもしれませんが、読みたい本が一杯ある皆さんと比べると哀れなだけです。
 この点をご理解いただけないと話が判ってもらえませんな。
 古い本は読み切れないほどあって、いいと云えばいいのですが、それでもいろいろ足掻いてみるわけです。

 どうも、説明の順番が悪かったみたいで、皆さんに誤解を与えたようで恐縮です。
 読みたい新刊がなくて困っている輩にも心ときめかす本が出てくれたらそれでいいのであって、流通の話はどうでもよかったのです。


2001/4/13  鬱だ、しのう

 ハイパーテキストによって考えを伝えることの難しさを想い識る。
 なにせ、考えの根幹である『蜘蛛男』の広告まで、ほとんどの諸氏を導くことができなかった。これでは無闇に論点を拡散させ無用の混乱を招くだけだ。
 あくまで、創り手の魂と、それを高めるための<場>の可能性の話をしていたつもりなのだが。
 誤解を与えた諸氏には謝する次第である。
 反省。


2001/4/12  本はなかなかナンギな話

 たまたま見つけた小粋な姉妹のやってるクラブがなかなかよさそうだという話が、何だか小難しく不粹なことになってしまって恐縮です。今回で最後ですので、まあ聞いてください。なんせ、『蜘蛛男』まで辿り着いた方は極めて少数で、全部読んでる諸氏はほとんどいないと存じますが。

 まあ、たとえばリキエスタみたいなオンデマンド出版でSF本などが手軽に出版できるようになればいいなというような話が森山和道氏の4/9の日記にあるわけですが、いまでも少部数なら個人でも簡単に出版自体はできるわけです。どう流すかが大問題なわけでして。
 あたしはいまの新刊にはまったく興味がないので、既存の本の流通はどうでもいいのです。こっちの個人で出す本の流通ルートを確立しておけば、いろんな本が出すことができて、ちっとは状況が面白くなるということを云っているわけです。自分の原稿を本にするんではなく、たとえば絶版本を復刊したり、出版が難しくなった好きな作家の本を出すというようなことを念頭に置いているのですが。<読書系サイトのファウンデーション>の話を読めばお判りいただけるかと存じます。
 この手の本だけを流す市場というのは不可能だし、できたとしても現在の電子本の流通のように閉鎖的であまり意味のないものになるだろうと想います。まず、既存の弱小出版社の直販を土台にしたネットワークの市場を確立し、そこに乗せようと云っているわけです。すでに部品はそろっていて、組み立てればとりあえず完成するのではないかと考えています。ひつじ書房の特許の話は記事になったのでしょうか。
 ですから、皆さんの仰る如くいろんな新刊流通ルートがあればいいね、というようなこととはまったく次元の違う話なのです。
 ついでに既存の流通から事実上閉め出されている弱小出版社の支援にもなれば、それはそれで結構なことです。あくまでも、流通を支援する仕組みをつくるということで、出版社の労力を軽減する話ですよ。いまの直販でうまくいくはずはありませんからな。
 出版にとって流通は補給路であり進路でもあります。日本の出版社はこれをすべて放棄しており、そのため窮地に立っているのです。聞くところによると、欧米列強の出版社はそれぞれに独自の流通ルートを確保してるとかいうことで。
 あたくしには日本の出版業界よりコミケのほうが資本主義的に見えますし、分業こそ誰に向けたものなのかさっぱり判らんようなくだらない本しか出なくなった元兇だと考えています。読みたい新刊が一冊もなくて困っている者もいることを認識していただけるとありがたいです。

 以下はちょっと違う話。
 姉妹がやってるAJ−CLUBがよさそうだという当方の話に、何故、直販はいんちきで駄目駄目というような反応を森山氏が返されるのかをお訊きしたかった。そこまでオンライン新刊書店がよいという理由を。日記にはほのめかされているだけで、どうもよく判らんのですが。
 絶望書店の探求書依頼のなかには新刊で手に入るものが極めて多く、ブックオフで100円で買ってきて売れば儲かるのでしょうが、絶望書店がわざわざすることでもないし、とにかく面倒なのでbk1にすべて流してました。そのほとんどの客が買ったと想います。そこそこな数ですよ。
 しかし、最近いろいろ疑問に感じてきて、ほかに流したりしています。もし、オンライン新刊書店がよいという理由を聞かせていただけるのならまた流しますけど。云って減るもんでもなし、いいでしょう。あたくしは新刊の探求書なんて面倒なだけですから、ひとつでも頷けるところがあればそれでいいんですけど。
 なんせ、絶望書店に新刊の探求書依頼が来るような事態は、皆様でなんとかしてほしいものです。これは世の中いろいろ間違っとる。せめてオンライン新刊書店にそのくらいの窓口や掲示板を設けてもらいたいもんです。反対に絶版ならふるほん横町あたりに流すとか。

 こちらの書店員さんの話と重なるような重ならないようなよく判りませんが、新刊書店というのは水先案内人役で、物質としての本を売ることは副次的なことではないかと想います。その点、ブツがないとどうしょうもない古書店とは違う。しかし、いまはそれが逆転しておりますな。
 よくブックオフは本の智識がないと嗤うひとがおりますが、古書店は仕入れがすべてでブツがあるなら智識などいらない。反対に新刊書店はブツはいくらでも仕入れることができて、智識で勝負するはずなんですが、実際には想うように仕入れができないらしい。
 少なくともオンライン新刊書店は水先案内人役に徹したほうがよろしいんではないかと存じます。ブツをあつかっていては破綻することを稚拙ながらも具体的に述べたつもりなんですが、反論もいただけないようですし。データだけあつかうなら仕入れに苦労する書店側も、流してもらえない弱小出版社も利点があるかと。たとえば<ファウンデーション>の基礎となっている唯一の新刊書店の話のように。
 まあ、そんなことです。

 なお、本の未来にご興味のある方は10/15 本と卷物と日記とや1/10 ニジンスキー式読書法をご覧ください。いや、この絶望書店そのものが未来の本を体現しておるのです!
 日記しか読まれない諸氏が多くて困ったもんですが、すべての棚、すべての薔薇の刻印のページを観れば、居ながらにして未来の書物の姿が諸氏の眸の前に儼然と顯現することでありましょう。
 『美味しんば』を眼にしてから、まんがもやはり画面上では巻物調が読みやすいと確信いたしました。未だにページにこだわっている方々にうまい具合に教えてやってもらいたいものです。まともに教えたら、洒落は通じないでしょうしネ。


2001/4/9  本を直接売る話

 この姉妹を愛でよ!!の本の直販について青木氏と森山和道氏の日記で反応があったようですので、また応えてみましょう。日記らしくていいですね。
 森山氏の鞏固なる<リンクポリシー>は、どうも絶望書店主人にいじってもらいたいと誘っているような気がいたしますので、なんか応えないと悪いような。青木氏がまたヘルメス役と申しますかキューピット役と申しますか、伝言ゲームの神経中枢を買って出ていただければよいのですが。いかにも<ウェブ>と申しますか<ルーター>と申しますか、情報の流れやノイズの挟まり具合が眼に見えてなかなか面白いですので。新刊流通のモデルみたいなもんですか。
 ちなみに森山和道氏はオンライン新刊書店bk1の?aid=<$aid>&tpl=dir/01/01010800.tpl” TARGET=”_NEW”>SFコーナーを担当されてる方です。

 大手出版社は現在の書籍流通システムに必要以上の絶大なる恩恵を受けており、直販に力を入れる理由はありません。近所の書店で簡単に入手できるのですから、読者もそちらで買うべきです。
 あたしが想定しているのは、そのシステムから事実上閉め出されている弱小出版社(全体の半分ほど、部数では一割以下)です。しかも、死ぬのが嫌ならやるしかないと云っているのであって、簡単にできるとは云っておりません。
 そんな死ぬ気で頑張っている出版社がいれば読者も支援してやれということで、いらない本まで買えと云っているわけではございません。あたりまえですな。

 ブックサービスは大手取次の対抗勢力として競争を持ち込んでくれるのならそれでいいのではないかと単純に考えてますが、脳天気ですかね。何か裏にあるのかな。
 それに現状はともかく、出版社が主体的につかえば直販システムになるはずでしょ?『だれが「本」を殺すのか』が出版社の直販について「具体的な考察」がないと云ったのは、ブックサービス側からの取材だけで出版側からの考察がないらしいからです。「利用する」出版社側から視れば直販でしょ?
 直販と云ったって、出版社がお客の家まで直接届けるわけはなく、宅配便や梱包サービスを使うのはあたりまえですからな。払う手数料は通常ルートとあんまり変わらず取次の栗田も何パーセントか取るにしても、いったいどう流れてほんとに棚に並んでいるのかさえ判らん烏羽玉の暗闇に放り投げるような状況よりは遥かによいと想いますが。あくまで主体的に「利用」すればですが。違いますかね。
 大手取次を通すオンライン新刊書店のほうがよいという理由があたくしには見えませぬ。ほんとに見えませぬ。教えてもらえないと見えないままです。

 オンライン新刊書店もマイナーな本に関しては在庫がなく、注文があるたび取り寄せるわけですから出版社の手間は直販と同じで、実入りだけ減るわけです。なにも100%直販に切り替えろと云っているわけではありませんから、倉庫代は変わりませんよ。オンライン新刊書店のほうも、マイナーな本を一冊づつ取り寄せるのはおそらく採算に合わないでしょうし。
 売れ筋の本に関しては近所の本屋で簡単に買え、マイナーな本だけでは採算が取れないほど大規模で、日本のオンライン新刊書店は存在自体が矛盾しているような気もいたしますが。取次は自分とこのあつかい量が増えればそれでいいのでしょうけど。
 あたしが想定している出版社の在庫はせいぜい1000点(1000冊ではございませんよ)、現場担当者全員が頭の中ですべての在庫状況を把握できる範囲です。翻ってオンライン新刊書店はいかに電脳の補助があろうと人間の能力を超えておりますな。仮に100万点として、単純に1000倍の労力ではありえません。少なくともその数倍、ヘタをすると二乗。なんせ、無数の出版社と無数のサイズという要素が新たに加わるわけですし。
 書店へのどんぶり勘定の配送とは違い、小売りのオンラインでの書籍販売に関しては分散処理が適しております。それこそ全書籍が集まる完璧な大規模流通センターができて一発で処理が済むならともかく、現状では複雑に過ぎますからな。基礎データや売り口上のことを考えても、分散処理で各出版社が担当する方が理に適っております。
 とくに日本のように出版社のほぼすべてが東京に集中している地でわざわざ一カ所に半端に集配管理するのは、出版社をまたぐ注文などへのそれなりのコスト計算もあるのでしょうが、旧弊な商習慣への配慮のために迂遠な回路を巡っているだけに過ぎぬのではありますまいか。クロネコがブックサービスにあえて取次を噛ましているように。
 直販が「そんなに単純な話じゃない」というのが、もしやこんな政治向きの話なら、逆にブックサービスのように迂回路はいくつもあるはずですが。ブックサービスに倉庫ごと管理を任せるのもいいでしょうし。ブックサービスの内情はよく識りませんが、まあ例えばの話です。宅配便はほかにもいろいろあります。
 ブックサービスに関してはこの掲示板の149と150になかなかいい話が。くどいようですが、あたしが想定しているのは注文しないと書店では手に入らないような本だけのことですよ。これとは反対側から視た流してもらえない弱小出版社の声もいろいろ見つかるのですが、あまりに切ないのでリンクを張るのはやめときます。

 AJ−CLUBはあたしも何か裏があるかと「ペリカン便をつかってるらしいけど、ほかもやってるなら教えてください」と書いたわけですけど、結局、独自のきちんとした直販システムということでいいんですかね。もしそうであるなら、成功してもらえればいろいろ波及することもあるでしょう。
 近頃は新刊のバーゲンというのもたまに見ますが、書店ではなく出版社がやるのが画期的に想えるのは、あたしも旧弊な商習慣に毒されておるのやら知れません。戦前は岩波なんかがバーゲンの新聞広告を打っていたりしたそうですけど。

 いずれにせよ、弱小出版社の本を現在の流通システムに流そうなんて氣宇壯大で荒唐無稽なことよりは、直販を土台にした<読書系サイトのファウンデーション>建設のほうがこじんまりと現実的なように愚考いたしますが、いかがなもんでしょうか。各方面の出版関係の皆さんが揃って死にたいのであれば、無理にはおとめいたしませんが。
 もっとも、あたしくの考える「本物の直販」とは書き手が直接売ることで、コミケでは皆さんやっておりますよ。プロの出版社のくせしてできないとのたまう輩がいれば、それはたんなる<本のド素人>の無知蒙昧たる妄言に過ぎませんな。直販もできない輩には、出版などする資格は最初からない!
 乱歩の『蜘蛛男』の広告をもう一度ご覧いただきたいですが、直販をしろというのは、収益云々以前に、お前らはほんとにこれだけの魂を込めて本を出しているのかあぁああ!!!!!????根性見せたらんかいっっっっ!!!!!!!!!ということが主眼なのです。まともな本が出るようになれば、それでよいのです。

 なお、絶望書店主人の新刊書籍流通への智識はまるっきりのゼロで、世界の果てから受信した電波を口移しに出鱈目なことを吹いているだけですので、よいこのみんなはくれぐれも信じたりしないように。正しい答えは、いずれどなたかが示してくれることでありましょう。

追記
 あくまで、創り手の魂と、それを高めるための<場>の可能性の話をしているのであって、現在の流通のことは本質的な問題ではありません。4/14 本についてのまとめの話をご覧ください。


2001/4/6  おまえら!この妄想を買え!!!! 2

 W杯期間中、2ちゃんねるのサッカー関連板は韓国がらみで大荒れで、そんな大暴れの嫌韓さんたちは何故か異様に韓国に詳しくて何故か韓国のことを広く識らしめたいと頑張っていて、云ってることも韓国の皆さんと双子のごとくに瓜二つで、あたしはこれまで日本と韓国はずいぶん違う国民性だと想ってたんですけど、ああ同じ血が流れている人々もやっぱり大勢いるんだなあ、解り合うってこういうことでこれが共催の成果なんだなと感心していたわけですが、そんなお祭りとはまったく関係なく突如として現れた2ちゃんねる史上最高の名スレと云っても過言ではないのが日本代表の不思議サカ-スレ、別名ワーワースレでありました。
 これは何かと申しますと、なんだか曖昧模糊としてよく判らん日本代表のプレースタイルを曖昧模糊としてよく判らんままに完璧に読み解き、新時代を切り開く驚天動地の結論を導くという大変なものなのでした。

 あたくしは常々、日本にはまともに点の取れるフォワードがいないんだから世界に例のない0トップシステムを採用すべきであると考えていたのですが、このスレで改めて気付かされたのは日本代表にはフォワードどころか1対1できちんと攻撃を防ぐ常識的なディフェンダーもまったくいないということでして、そもそも中タコなんかはアントラーズでやってる本職は中盤のボランチだったりして、つまり日本代表はキーパー以外の10人全員がミッドフィルダー、0-10-0という画期的なシステムを採用しているわけです。
 それだけではなくフォワードのつなぎ沢が何故かゴール前でシュートを打たずにボランチの稲本にパスを出したり、頼りないディフェンダーが抜かれてもその後ろに何故かフォワードがいて守備をしたりと、世界のサッカー常識を越えた縦方向のポジションチェンジを頻繁に繰り返しながら誰が点を取る役目で誰が守備をする役目なのかさっぱり判らんという、あの天才クライフでさえ考えつかなかったであろう真の意味でのトータルフットボールを実現させてしまっているわけです。
 今大会では韓、米、メキシコなどのようにとにかく走り廻って全員で攻めて全員で守るというスタイルの国が上位に進出して一見すると日本と似ているようですが、これらのチームはポジションは確立していて全員で攻めても最後はフォワードが点を取り、全員で守っても最後はディフェンダーが止め、また1対1できちんと勝負する至極まっとうなサッカーをしています。
 さらに、これらのテクニックのしっかりしているチームと違って日本はパスミスが非常に多くて、ただでさえポジションと役割がはっきりしないのにボールがどこに行くのか判らんわけですから敵も味方も混乱して、狹い範囲で密集して戦っていることもあってぐちゃぐちゃの泥仕合といった様相を呈します。そんな状態で簡単に押し込まれるのになんだかよく判らんままに危機を脱して、なんだかよく判らんままに得点してしまう。これを不思議サカ-と呼び、またワーワーと云うわけですが、ワーワーとはかなり以前からくだらないギャグとして頻繁に2ちゃんに登場していた以下のコピペのことです。

   


  ○○
 ○  ○   ワー
○ ● ○    ワー
 ○  ○
  ○○

 笑いも呼ばない脱力系コピペがよく考えてみると日本代表のスタイルを的確に表した図であったわけです。また、『キャプテン翼』との驚くほどの類似も指摘されております。
 ワーワーシステム論の最大の効用は、これまで日本のどたばたとした何とも頼りなげな試合を観ているとはらはらして胃がきりきりと痛くなり、決定力のなさにいらいらして血圧が上がるのに対して、この理論を身に着けていると「おっ、敵も味方も混乱してワーワーに持ち込んだ。こっちのもんだぞ」と安心して観ていられることでして、とにかく健康にはすこぶるよろしい。とかく面白くないと云われる日本サッカーが俄然面白く映るようにもなり、自身の身体でこれほどはっきり效果のほどを量れる理論をあたくしはほかに識りません。また、強豪国も日本と当たると何故か日本のレベルまで降りてくるという不思議や、中村俊輔が外された理由など、あらゆることがじつにすんなり説明できるようになるのです。
 さらには世界のサッカーの新たなる扉を開く革命的システムがここから生まれるのやも知れぬのですぞ!

 30年前のW杯でトータルフットボールを披露してサッカーの世界に根本的革命をもたらしたクライフは、新しい戦術が生まれなかった今回のW杯には失望しているとして「ブラジルは現実的でスペクタクルに欠ける」なんてなことをのたまっておられます。<現実>というのがクライフにとっては絶対的な悪で、詰まらない<現実>を打ち碎くことこそがサッカーにとって勝利以上の崇高なる使命なのですな。ななんと素晴らしい!
 なんか次の日本の監督はジーコなんだそうでして、4バックにして攻守の役割分担をきっちりさせて、中盤にテクニックのある4人を配して日本版「黄金のカルテット」を形成したりとだいぶこれまでと違ったシステムになるようです。
 しかし、ブラジル全盛期の黄金のカルテットはジーコという卓越した得点力を持ったミッドフィルダー(去年ロマーリオに抜かれるまでペレに次ぐブラジル歴代2位)がいたからこそのものでして、取り柄のテクニックや創造性でも日本のプチカルテットが本家に適うはずもなく、結局はワーワーシステムしかなくなるのではないかと期待しています。トルシエ日本がアジア相手にはもうちっとまともなサッカーをしていたのに、強豪国相手にはワーワーしかなくなった如くにして。
 ジーコはずっと監督になるのを拒否していて、いまだに中盤の華麗なパス廻しなんて古き良き時代のスタイルを最良のものと考えているようで、クライフ以上の夢想家のような気もします。窮屈なシステムばかりが発達して詰まらなくなったサッカーを変革しようといろいろ足掻くことでしょう。しかし、ジーコ率いるブラジル全盛期の黄金のカルテットでさえ敗れ去ったわけで、日本のプチカルテットには常識を切り裂く新戦術が希求されることになる。
 そのとき、システムを拒否したシステム、それも今回のブラジルのように個人技だけに頼るわけではなくまぎれもなくチームで構成するシステム、敵も味方も混乱に陷れるカオスを孕むシステムらしからぬパラドックスシステム、ワーワーシステムが花開く日が!クライフのトータルフットボール以来の世界のサッカーの根本的革命が日本からはじまる日が!

 あー、サッカーをあんまりよく識らない諸氏はそのまま丸ごと鵜呑みにはしないように。全員が1対1できちんと勝負できてフォワードがきっちり得点してくれるのなら、つまりW杯出場レベルであればどこの国でも当たり前にやってるまっとうなサッカーができるのなら、こんな廻りくどいことはしなくともいいんですから。
 しかし、結構シャレだけでもないような。正攻法の戦いでは不利な弱小チームは世界中どこでもありますし、おもしろい新システムの欲求はつねにあるわけですから。
 簡単に云うとワーワーとは1対1で突破する能力がないためにチーム全体で継続的にフェイントを仕掛け続けて偶発的な突破を導くということですが、動きよりも考え方のフェイントが大きな比重を占めるため異文明相手の戦いには非常なる效果がある。なんせフォワードがゴール前でシュートを打たずにパスを出すなんてことは日本人にさえ理解できないのですから、サッカー先進国にはどれほど大きな衝撃を与えることか!日本人サポーターをもフェイントに掛けて混乱させ、敵のシステムを精神面からも破壊する恐るべき戦術なのです。
 とにかく、世界中のメディアも、あのクライフさえも未だ気づいていないほど繊細でへんてこりんな独自のシステムを日本が今回のW杯で実践したことだけは間違いがなく、決定的な得点力がないあいだは、ひょっとすると日本サッカーにとっては未來永劫、ワーワーシステムが現実的な選択だったりもするのです。

 <現実>を追求することがすなわち敵も味方も幻惑する<ファンタジー>につながってしまう日本も、その<ファンタジー>を共同作業で読み取ってしまうワーワースレ参加者も、ともに幻視者、眞のファンタジストと云えなくもあるまい。たとえ勘違いであったとしても、それもまた。



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