絶望書店日記

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絶望書店主人推薦本
●女の子向け

 
『炎の女 伊藤野枝伝』

岩崎呉夫 昭38年初版 七曜社 カバー痛み 2000円
伊藤野枝の28年間の無茶苦茶な人生も凄いけど、それ以上にこれは本として実に良くできている。とくにラストは胸締め附けられる!!女子読むべし!!


●男の子向け

 
『ニューヨーク武芸帳』

坂本正治 昭51年初版 中央公論社 並上、少カバー痛み、帯 2000円
坂本正治の痛快本!!前途渺茫たる学生さんには殊に強く推奨いたします。男子読むべし!!売切れました。


●言葉に戯れたい人向け

 
「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」
三島由紀夫『小説家の休暇』『裸体と衣裳』をも越える多彩なる思索日記。うねうねとたゆたう独特の文体もたまりませんです。



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2001/4/12  本はなかなかナンギな話

 たまたま見つけた小粋な姉妹のやってるクラブがなかなかよさそうだという話が、何だか小難しく不粹なことになってしまって恐縮です。今回で最後ですので、まあ聞いてください。なんせ、『蜘蛛男』まで辿り着いた方は極めて少数で、全部読んでる諸氏はほとんどいないと存じますが。

 まあ、たとえばリキエスタみたいなオンデマンド出版でSF本などが手軽に出版できるようになればいいなというような話が森山和道氏の4/9の日記にあるわけですが、いまでも少部数なら個人でも簡単に出版自体はできるわけです。どう流すかが大問題なわけでして。
 あたしはいまの新刊にはまったく興味がないので、既存の本の流通はどうでもいいのです。こっちの個人で出す本の流通ルートを確立しておけば、いろんな本が出すことができて、ちっとは状況が面白くなるということを云っているわけです。自分の原稿を本にするんではなく、たとえば絶版本を復刊したり、出版が難しくなった好きな作家の本を出すというようなことを念頭に置いているのですが。<読書系サイトのファウンデーション>の話を読めばお判りいただけるかと存じます。
 この手の本だけを流す市場というのは不可能だし、できたとしても現在の電子本の流通のように閉鎖的であまり意味のないものになるだろうと想います。まず、既存の弱小出版社の直販を土台にしたネットワークの市場を確立し、そこに乗せようと云っているわけです。すでに部品はそろっていて、組み立てればとりあえず完成するのではないかと考えています。ひつじ書房の特許の話は記事になったのでしょうか。
 ですから、皆さんの仰る如くいろんな新刊流通ルートがあればいいね、というようなこととはまったく次元の違う話なのです。
 ついでに既存の流通から事実上閉め出されている弱小出版社の支援にもなれば、それはそれで結構なことです。あくまでも、流通を支援する仕組みをつくるということで、出版社の労力を軽減する話ですよ。いまの直販でうまくいくはずはありませんからな。
 出版にとって流通は補給路であり進路でもあります。日本の出版社はこれをすべて放棄しており、そのため窮地に立っているのです。聞くところによると、欧米列強の出版社はそれぞれに独自の流通ルートを確保してるとかいうことで。
 あたくしには日本の出版業界よりコミケのほうが資本主義的に見えますし、分業こそ誰に向けたものなのかさっぱり判らんようなくだらない本しか出なくなった元兇だと考えています。読みたい新刊が一冊もなくて困っている者もいることを認識していただけるとありがたいです。

 以下はちょっと違う話。
 姉妹がやってるAJ−CLUBがよさそうだという当方の話に、何故、直販はいんちきで駄目駄目というような反応を森山氏が返されるのかをお訊きしたかった。そこまでオンライン新刊書店がよいという理由を。日記にはほのめかされているだけで、どうもよく判らんのですが。
 絶望書店の探求書依頼のなかには新刊で手に入るものが極めて多く、ブックオフで100円で買ってきて売れば儲かるのでしょうが、絶望書店がわざわざすることでもないし、とにかく面倒なのでbk1にすべて流してました。そのほとんどの客が買ったと想います。そこそこな数ですよ。
 しかし、最近いろいろ疑問に感じてきて、ほかに流したりしています。もし、オンライン新刊書店がよいという理由を聞かせていただけるのならまた流しますけど。云って減るもんでもなし、いいでしょう。あたくしは新刊の探求書なんて面倒なだけですから、ひとつでも頷けるところがあればそれでいいんですけど。
 なんせ、絶望書店に新刊の探求書依頼が来るような事態は、皆様でなんとかしてほしいものです。これは世の中いろいろ間違っとる。せめてオンライン新刊書店にそのくらいの窓口や掲示板を設けてもらいたいもんです。反対に絶版ならふるほん横町あたりに流すとか。

 こちらの書店員さんの話と重なるような重ならないようなよく判りませんが、新刊書店というのは水先案内人役で、物質としての本を売ることは副次的なことではないかと想います。その点、ブツがないとどうしょうもない古書店とは違う。しかし、いまはそれが逆転しておりますな。
 よくブックオフは本の智識がないと嗤うひとがおりますが、古書店は仕入れがすべてでブツがあるなら智識などいらない。反対に新刊書店はブツはいくらでも仕入れることができて、智識で勝負するはずなんですが、実際には想うように仕入れができないらしい。
 少なくともオンライン新刊書店は水先案内人役に徹したほうがよろしいんではないかと存じます。ブツをあつかっていては破綻することを稚拙ながらも具体的に述べたつもりなんですが、反論もいただけないようですし。データだけあつかうなら仕入れに苦労する書店側も、流してもらえない弱小出版社も利点があるかと。たとえば<ファウンデーション>の基礎となっている唯一の新刊書店の話のように。
 まあ、そんなことです。

 なお、本の未来にご興味のある方は10/15 本と卷物と日記と1/10 ニジンスキー式読書法をご覧ください。いや、この絶望書店そのものが未来の本を体現しておるのです!
 日記しか読まれない諸氏が多くて困ったもんですが、すべての棚、すべての薔薇の刻印のページを観れば、居ながらにして未来の書物の姿が諸氏の眸の前に儼然と顯現することでありましょう。
 『美味しんば』を眼にしてから、まんがもやはり画面上では巻物調が読みやすいと確信いたしました。未だにページにこだわっている方々にうまい具合に教えてやってもらいたいものです。まともに教えたら、洒落は通じないでしょうしネ。



本を直接売る話