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絶望書店主人推薦本
 
『戦前の少年犯罪』
戦前は小学生の人殺しや、少年の親殺し、動機の不可解な異常犯罪が続発していた。
なぜ、あの時代に教育勅語と修身が必要だったのか?戦前の道徳崩壊の凄まじさが膨大な実証データによって明らかにされる。
学者もジャーナリストも政治家も、真実を知らずに妄想の教育論、でたらめな日本論を語っていた!

『戦前の少年犯罪』 目次
1.戦前は小学生が人を殺す時代
2.戦前は脳の壊れた異常犯罪の時代
3.戦前は親殺しの時代
4.戦前は老人殺しの時代
5.戦前は主殺しの時代
6.戦前はいじめの時代
7.戦前は桃色交遊の時代
8.戦前は幼女レイプ殺人事件の時代
9.戦前は体罰禁止の時代
10.戦前は教師を殴る時代
11.戦前はニートの時代
12.戦前は女学生最強の時代
13.戦前はキレやすい少年の時代
14.戦前は心中ブームの時代
15.戦前は教師が犯罪を重ねる時代
16.戦前は旧制高校生という史上最低の若者たちの時代



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2009/3/31  ブラック・ジャックの正体はジキルとハイドなんだってば!

 ブラック・ジャックの正体はジキルとハイドの合成なんだというこの真理が広まらないのが、あたしにはどうしても悔しい(※ブラック・ジャックの素を参照せよ!)。己の情報伝播の力不足が不甲斐ない。
 これはたんなる豆知識やヲタクの蘊蓄自慢ではなくて、『ブラック・ジャック』という名作をきちんと読むためには必ず踏まえておかねばならぬことだからです。いや、受け手はともかくとして、創り手側は常に胸に刻みながら何度でも繰り返し噛み締めておくべき絶対の真理なのです。
 ブラック・ジャックのアニメなりドラマなりがピント外れになるのは、この真理にまったく気づいていないからなんですよ。このあいだの手塚治虫特番に出ていた手塚眞は、ブラック・ジャックの左右白黒の姿はたんに不気味なキャラにしようとしただけで意味はないなんて云ってたけど、これではどうしようもない。偉大なる魂が受け継がれるはずもない。
 あたしの言説に説得力がないのは画像がないことが大きいんでしょう。ひさしぶりに探してみたら、丹波哲郎の『ジキルとハイド』をYouTubeにアップしてくれてる人がいた。
 これがブラック・ジャック連載開始半年前にテレビで放映されていたのです。オープニングの白いジキルと黒いハイドの顔が半分づつ合成される場面や、後半の予告編に出てくる黒コートを着たハイドの大立ち回りを見てくださいよ。これはもう誰がどう見たって、ブラック・ジャックの素でしょうが。異論の出るはずがありません。

 新たにブラック・ジャックのアニメなりドラマなりを創ろうという人は、この丹波哲郎ハイドの強烈な悪を意識しなければならんのです。キャラの見た目だけではなく、このジキルとハイドという異様なるドラマは話そのものがブラック・ジャックであって、きちんと踏まえないといけないのです。
 さらにそこから、手塚治虫生涯のテーマが二重人格とメタモルフォーゼだったのに、ブラック・ジャックはそれに反して決して変身せず、二重人格がドストエフスキー的にひとつに融合していることにも気付かなくてはならぬのです。それはもちろん、大人と子供を併せ持ちながらも決して変身せずひとつに融合している<ふしぎな逆メルモちゃん>であるピノコにも当てはまる。
 そうして初めて、ブラック・ジャックがどんどんいい人になってしまって、手塚治虫自身がキリコを出さざるを得なくなったそのジレンマもきちんと受け止めることができる。ジレンマを感じながらキリコを出さないと、それはキリコではないのです。
 『鉄腕アトム』のふたつのジレンマが「ロボットは成長(メタモルフォーゼ)できないから不完全」と「ロボットは悪いことができないから不完全」で、手塚治虫生涯のテーマであるメタモルフォーゼと二重人格に反するため、なんとか成長させようとし、またアトラスという悪い心<オメガ因子>を持ったロボットを登場させたことと裏腹の関係になるです(※ブラック・ジャックの素 2を参照せよ!)。
 丹波哲郎の強烈なキャラをたんにパクっただけではなく、『ジキル博士とハイド氏』のふたつの人格を融合させてより深化させ、手塚治虫の生涯のテーマさえも超えた境地にブラック・ジャックはあるわけです。それを踏まえないブラック・ジャックのアニメなりドラマなりを創っている人たちは結局、手塚治虫の根本をなにも理解していないということです。表面だけなぞっても意味はありません。
 なにゆえ「恐怖コミック」だったか、もう一度よく考えて感じていただきたい。切にしかあらんことを希う次第であります。

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