絶望書店日記

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絶望書店主人推薦本
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』

冤罪、殺人、戦争、テロ、大恐慌。
すべての悲劇の原因は、人間の正しい心だった!
我が身を捨て、無実の少年を死刑から救おうとした刑事。
彼の遺した一冊の書から、人間の本質へ迫る迷宮に迷い込む!
執筆八年!『戦前の少年犯罪』著者が挑む、21世紀の道徳感情論!
戦時に起こった史上最悪の少年犯罪<浜松九人連続殺人事件>。
解決した名刑事が戦後に犯す<二俣事件>など冤罪の数々。
事件に挑戦する日本初のプロファイラー。
内務省と司法省の暗躍がいま初めて暴かれる!
世界のすべてと人の心、さらには昭和史の裏面をも抉るミステリ・ノンフィクション!

※宮崎哲弥氏が本書について熱く語っています。こちらでお聴きください。



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2006/11/30  川上未映子が来た!

 未映子がまたもや名前を変転させて川上未映子となって、「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」なる本を出した。
 こらまたなんちゅうタイトルで処女出版やねん。中身はほんとに詰まって、想いのほかずっしり重いな。いや、物理的ではなく内容ね。息抜く閑のなき言葉と思索のざわざわした鬩ぎ合い。
 未映子が来る!とぶちあげてから2年と半年、ここがひとつの到達点ではある。絶望書店主人の眸がいかに確かであったか、諸氏はいまこそ想い識ることになるであろう。
 なんせ、野中ユリの表紙絵を背負っての登場だからな。野中ユリ装画というのは、藝術を統べる帝位直系の継承者である証、三種の神器のひとつで、あとのふたつは永劫に失われてしまっているわけだからな。
 それも宇宙がびっしり三段に詰まった化粧道具箱の絵かいな。これほどの御璽を握ってデビューした物書きは有史ほかにおるまい。
 
 改めて見廻すと、いつの間にかビクターのあの公式サイトがなくなった。とうとう最後まで検索拒否し続けて未映子の邪魔をし続けていたのか。
 
 てなことを書こうかと想ってた矢先、未映子のブログでまだ告知がアップされる前、南阿佐ヶ谷の書原で、未映子の顔がでっかく表紙に載った早稲田文学が山積みされてるのに偶偶遭遇してびびった。すっごいな。まるで未映子大特輯号ではないの。
 つーか早稲田文学っていつの間にこんなことになってたのかね。タブロイド判にでっかくなって、フリーペーパーだと。
 なんせただでもらえるから、諸氏らもVol.07をありがたくもらってきて、未映子の「感じる専門家採用試験」を一読してみなはれ。驚愕して口も利けんくなるから。
 いとうせいこうも眼を付けたみたいだけど、まだあんまり捕らえ切れてはおらんようで。
 
 下の一覧に示したように絶望書店日記ではやたらと未映子のことを持ち上げてきてて、嗤ってる輩も結構いたのだが、これからは絶望書店主人のあまりの正しさに心を入れ替え、絶望書店主人の足許に屈することとなろう。いや、あたしに屈する必要はないので、その貌を上げて、未映子に跪きたまえ。
 壓倒的なる藝術に跪くこの歓びよ!何世紀かに一度しか味わうことできぬ藝術の奇蹟に遭遇できたこの幸運よ!
 まあ、いまはまだ嗤ってる輩もしぶとくおろう。しかし、しばらくすれば己の不明を想い識ることとなる。ものごっついことになって、野中ユリのほうが未映子の装画をやったということで評価が上がることになるであろうから。
 この絶望書店主人の眸はフシアナではない。
 
 
※追記
 乱視読者ロリータの若島正があまりにも素晴らしい書評を書いていたので引用しておきます。
 


12/17 毎日新聞 今年の3冊
「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」川上未映子著
若島正(京大教授・米文学)
 
 恥ずかしながら、わたしは「文筆歌手」という妙な肩書きを背負った川上未映子という著者がどんな人なのか、まったく知らない。まあしかし、それはどうでもいいではないか。頭でっかちなタイトルを持ったこのエッセイ集は、今年読んだ本のなかで飛び抜けて面白かったのだから。ここに入っている、「私はゴッホにいうたりたい」という名文をもじって言えば、わたしは川上未映子にいうたりたい。めっちゃいうたりたい。 あんた、ええ本書いたなあ。

 うーん、これはいいねえ。
 絶望書店主人がいまさらこういう文章を出しても白々しい感じが出てしまうけど、これから未映子に遭遇する諸氏はこういう素直な感想を述べることができるのでまことに羨ましい。
 しかし、よく見ると「ゆうたりたい」が「いうたりたい」になっとるな。点睛を欠いておる。あかんやっちゃな若島正。
 未映子道は奧深く果てしないので、襞襞を掻き分け掻き分け精進するように。
 
 

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