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絶望書店主人推薦本
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』

冤罪、殺人、戦争、テロ、大恐慌。
すべての悲劇の原因は、人間の正しい心だった!
我が身を捨て、無実の少年を死刑から救おうとした刑事。
彼の遺した一冊の書から、人間の本質へ迫る迷宮に迷い込む!
執筆八年!『戦前の少年犯罪』著者が挑む、21世紀の道徳感情論!
戦時に起こった史上最悪の少年犯罪<浜松九人連続殺人事件>。
解決した名刑事が戦後に犯す<二俣事件>など冤罪の数々。
事件に挑戦する日本初のプロファイラー。
内務省と司法省の暗躍がいま初めて暴かれる!
世界のすべてと人の心、さらには昭和史の裏面をも抉るミステリ・ノンフィクション!

※宮崎哲弥氏が本書について熱く語っています。こちらでお聴きください。



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2005/1/2  発信者より受け手のほうがウェブ的と改めて

 世間ではネット・ジャーナリズムとやらの議論がお盛んなようで、それはそれで大切なことでもあるんでしょうが、すぐれた書き手は本でも新聞でもネットでもいろいろ勝手にやっていくことでしょうから、あんまりウェブ特有の話でもない。
 新聞や雑誌は売れなくなって、とくに新聞はいまどきあんなものを読んでくれる呑気な団塊世代の消滅とともに業態を変えざるを得ないでしょうから切り捨て決定済みの末端の記者さんなんかには死活問題なんでしょうが、ウェブ全体の、あるいはウェブの本質的な話としてみなさんが興味を持ったりするのはあんまり健全なことではないと愚考します。
 ちょっとだけ触れておきますと、不思議だったのはウェブは儲からないとか視聴率で見ると2ちゃんでさえ1.6%程度とかいう話があったことで、もし新聞が儲かるのなら新しく新聞社を起こせばいいし、これからテレビ局を新しく創ってそれだけの視聴率が取れるのかあるいは取るためにコストがどれだけ掛かって回収できるのかが問題のはずで、どうも比較対象がおかしいしウェブかどうかは関係ない。
 既存のマスコミが硬直しているとか食い扶持が減るとかこれからジャーナリストとして売り出したいとかいう話はウェブ云々と関係なく、まず新しく新聞社なりテレビ局なりを起こして自分でメディアを握って解決するのがスジで、それは金や手間が掛かり過ぎて事実上不可能、それなら飼い犬としてなんとかしがみついて定年まで堪え忍ぶか、あるいはネット・ジャーナリズムとやらはとりあえず金は掛からんから可能かもって話になってるはずなのになにやら議論が転倒しておる。
 あたしは新しい新聞社がこれから出てくるべきだと考えておりまして、たとえば政治経済専門のフリーペーパーをこさえて特定の駅で通勤客にただで配るなんてことをやらかせば、電車に吊り広告を出して携帯向けブログを発信するなんてよりも商売としても廻る可能性があるやも知れんし、影響力も持てるやも知れん。
 駅売り新聞を駆逐してしまえるのならその広告はどこかに移るんだから、漫然と変化を待ってるよりもてっとり早いし、無料でも駆逐できない内容なら元から議論するほどのことではなくなる。既存のブログの記事でも買い集めて誰かやってみませんかね。あるいは既存の新聞の記事の間違いをひとつひとつ指摘する内容をその日に配るとか。
 いや、べつに普通の新聞でもいいんですが、新しく起こせば<スーツ>を排して自分でメディアを握って自分の責任で好きなように書ける。紙か電子かは関係なくこういうメディアのありようが問題なわけで、なにやら新しい機能が問題のように受け取られるウェブでやるより新聞でやるほうがはっきりしますので。

 それはさておき、あたしはこんな少数の発信者のことよりもウェブ特有の話として受け手の方に興味があります。
 2002/9/25 平均寿命23歳も、本や博物館でこんな莫迦なことを云ってますよという発信者側のことを問題にしているのではなく、こんな莫迦な話を鵜呑みにしている方々がいっぱいいることが検索してみるとはっきり判る、まったく便利な世の中になったもんだなあということが一番云いたかったのでした。情報の受け手の脳内をこれほどまとまった数で覗くことはウェブが生まれる前には不可能だったのですよ。
 2001/9/29 誰かがサボってるも、海外のすぐれたサイトから情報をいただいてきてジャーナリズムをやりましょうというよりも、ごく普通の方々の意識がどのあたりにあるのか、地図を描くための基礎データが欲しいという話なのです。
 海外のすぐれたブログやおもしろブログなんかを紹介するサイトはいっぱいできましたが、私の欲するものはないようです。あれほどお願いしておいたのに、中東の普通の方々のブログは誰も教えてくれんし。国内のブログでもごく普通の方々の意識をまとめたようなサイトはありますでしょうか。
 トラックバックを辿って複数のブログにまたがる議論をツリー状に表示するプログラムなんかはあって、順番に議論を読むには便利ですが、もっと大きく人々の意識の分布が判るようなひとつの議論に対するブログの鳥瞰的な相関図、あるいは個々のブログなんかは関係なくそれぞれの読者数を元にしたウェブでの意識分布が色の違いで一目で判る分子運動図なんてのが早く欲しいところです。それも時々刻々とリアルタイムで色の分布が変転していくものであったなら。
 もちろんこんなものができたならそれに影響されて自分の記事を変えたり、情報操作する輩も出てくるでしょうが、それこそ時代が変わったことが実感できるというもので。
 企業や政府は人々の意識を掴むためにブログなんかをどの程度調査しているのでしょうか。ジャーナリズムなんてことよりも、ハリ・セルダンの心理歴史学の基礎データみたいなものとしてのウェブのほうがあたしには興味がある。絶望書店日記では一貫してこのことを述べてきたのでした。
 ハリ・セルダンの理論では観測対象の人々が心理歴史学の仕組みを識らないことが心理歴史学成立の要件となっておりますが、こんな前提はおかしいので、皆がスコアボードを見ながら陣地を取り合うほうがおもしろいというもの。もちろん政府にもプレイヤーのひとりとして参加してもらって。

 全体の地図を描くのは道遠しでありますが、とりあえず有力ブログはコメント欄に愚にも付かない書き込みをしてもらうよりもその方々にトラックバック先のブログを分類してもらったり、あるいはトラックバックに賛成か反対かくらいは表明する機能を持たせないことには意味付けウェブなんてのはとても辿りつけんけど、この手の取り組みはどうなっているのでしょうか。
 今月からテクノラティとかいうのがアメリカさんからやってきて、個々のブログの位置付け機能も多少はあるそうなんですが、あちらさんのサービスに頼るのはいささか情けない。どうせなら暇な方々に数えたり分類したりしてもらう作業をいかにしたらやってもらえるのか摸索したほうがいいような気がします。こういう受け手にどうやって行動を起こさせるかを実験するにもウェブは判りやすいですから。ポイントを出せばそれだけでいいような気もするのですが。

 もちろん、ネット・ジャーナリズムやブログを巡る議論には受け手のことも含まれてはいるのですが、改めてちょっと強調しておきたかったのと、ジャーナリストやら学者やらブロガーやら偉そうにウェブやら情報について語っている方々がちょっと手間を掛ければ数えたり分類したりできるものをやらずに適当な印象だけで見当外れのことを発信しているのではと、昔の事件や統計なんかをデータ化していてつくづくと想ったものですから。
 いかに膨大な量でもやってみればなんとかなるもんで、どうせウェブやらについてあれこれ語っているような輩は暇人なんだし。

1/3追記
 あや?これをアップした直後に「ソウルの地下鉄では無料新聞が大人気」なんてな記事がヤフーに出とるやんか。韓国のことなんか識らんかった。こんなの書くんじゃなかったな。お恥ずかしい。
 正月早々シンクロニシティーにしてやられるの図。