デザインが酷いのはロボットに限ったことではございません。現代日本に氾濫する工業製品のデザインはおよそ盡く酷いものばかりです。
自動車のデザイナーが手がけたASIMOなんかを観ても、ああいうツルンとした取っ掛かりのないシンプルなデザインこそが上等なデザインであるという間違った考えをほとんどのデザイナーが共有しているようで、これがすべての元兇であるとあたくしは想っています。
シンプルなデザインがいいデザインというのは寿司屋のアナゴの一種でありまして、美的感覚の欠如を顕す考え方に過ぎません。こんな妄想がはびこるのは現代のデザイナーがいかに無能になってしまったかということです。
シンプルかどうかと優れたデザインかどうかにはまったくなんの関連性もありませんから、シンプルデザインの中にもいいものはあるはずですが、現代の日本に於いてシンプルは無能なデザイナーの隱れ蓑にしかなっておりませんから、シンプルデザインはすべて醜い!蟲酸が走る!
もっとも、いまや最優先事項となってしまったコスト削減という要請からシンプルにせざる得ないという現実的な状況もあったりしますが、そもそもこれが間違っております。
テレビでも冷蔵庫でもドリルや背ビレのひとつもつけて、3倍の値段で売らんかい!!せめて、無意味に廻る針のメーターくらいはつけんかい!!
同じ醜悪ならまだしも過剰なほうが面白味がある。だいたい過剰を制御できてこそ眞のデザイナーというもので、ヲタク作家は優れた仕事をしているのに工業デザイナーはなにゆえこれほど低劣になってしまったのか。
新しいデザインのモノづくりを標榜して違う分野のデザイナーを連れてきているらしい『空想家電』改め空想生活なんかもおよそ詰まらないデザインばかりで、工業だけでなくデザイン業界すべてが腐り切っているとしか想えません。ウェブサイトもプロのデザインは見るに耐えないものばかりですし。
共通しているのはシンプルならいいデザインだろという、美的感覚の根本的欠如です。
いつまで経っても未来にやってきたような気がしないのは、第一にこれらの無能なデザイナーたちのせいであります。
家電のデザインなんかはすべてまんが家にやらせるべきです。それもメカが得意なまんが家よりも吾妻ひでおあたりにでもやらせたら、あたしは借金してでもすべて買い替えるんですが。まあ、人選はともかくとして日本の生き残る道はこっちのほうしかないでしょうに。
ほんとは小松崎茂にやらせておけば、未来なんてすぐに手に入ったはずなんですが。なんで、こんな簡単なことが誰にもできなかったのか。現代のデザイナーに小松崎茂の半分の才能でもあればこんな繰り言も出ないのですが。
iMac程度のデザインが評判になる21世紀というのは悲しすぎます。