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『戦前の少年犯罪』
戦前は小学生の人殺しや、少年の親殺し、動機の不可解な異常犯罪が続発していた。
なぜ、あの時代に教育勅語と修身が必要だったのか?戦前の道徳崩壊の凄まじさが膨大な実証データによって明らかにされる。
学者もジャーナリストも政治家も、真実を知らずに妄想の教育論、でたらめな日本論を語っていた!

『戦前の少年犯罪』 目次
1.戦前は小学生が人を殺す時代
2.戦前は脳の壊れた異常犯罪の時代
3.戦前は親殺しの時代
4.戦前は老人殺しの時代
5.戦前は主殺しの時代
6.戦前はいじめの時代
7.戦前は桃色交遊の時代
8.戦前は幼女レイプ殺人事件の時代
9.戦前は体罰禁止の時代
10.戦前は教師を殴る時代
11.戦前はニートの時代
12.戦前は女学生最強の時代
13.戦前はキレやすい少年の時代
14.戦前は心中ブームの時代
15.戦前は教師が犯罪を重ねる時代
16.戦前は旧制高校生という史上最低の若者たちの時代



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2002/3/14  未来は後退している

 ヒストリーチャンネルでロボットについての結構まとまったドキュメンタリーをやってたので観ておりましたら、PINOやPosyをデザインした松井龍哉という方がロボットに於けるデザインの重要性を熱く語っておりました。
 あたしは最近流行のロボットにはまったく興味を惹かれずよく識らなかったので、この手のデザインはまあ配線剥き出しもなんだからと技術者が片手間にやってると想っておりましたので、きちんとしたデザイナーがいることにまず驚きました。ましてや、デザインが重要なインタフェースとして認識しつつ、これらをその誇らしい成果として豪語しておられるとは。
 ウェブ上を見て廻りますと、この方はあちこちでじつに語る語る。その数たるや半端なもんではございません。商用メディアでもなんだか不思議なくらい同じ形容で数多く紹介されておりますが、個人サイト、とくにヲタク者サイトなんかの反応はほとんどありません。もうちょっと悪口でもあるかと想っておりましたが、默殺に近い状態です。あれだけ人々の心をつかんだ先行者とは対称的です。
 まあ、語るに足りない対象であることは判りますが、こういう才能のない方はきちんと批判して退場していただかないと、我々の夢見た未来はいつまでたってもやってこないのではないでしょうか。
 この方はロボットアニメのファンなんだそうで、また海外で高く評価されているということを売りにされているようです。
 昔、グレート東郷というプロレスラーがおりまして、見よう見まねのインチキ空手を遣ってアメリカで大人気を博していたということです。現代美術なんかの趣味の悪い方々が集うもともとバッタもんの分野ならこんな海外向けヲタクバッタもんみたいなのもいいのですが、ロボットまでもが侵蝕されてしまうというのは困ったもんです。
 ちなみにグレート東郷は渡米した大山倍達に出逢って自らのインチキさが恥ずかしくなり改心し、本物の空手を身につけて立派なレスラーになったということです。梶原一騎の描くことだから、どこまでほんとかは識りませんが。

 この方以外のロボットデザインもあんまりレベルは変わりません。相澤次郎博士から確実に後退しています。単純にデザイナーとしての能力も足許にもおよびませんが、ロボットとはなんなのかが根本的に判っていないような気がします。
 相澤ロボットはデザイン自体に物語を感じさせるところが凄い。アトムみたいに何体も並んでたら気持ち悪いであろうタイプではなく、量産型に向いた造形でありながら。いまのロボットはなんだかみんな古臭く貧乏臭いですが、相澤ロボットはいまでもほんとに新しくて未来を感じさせる。
 空山基が手がけたAIBOはデザイン自体は悪くないと想いますが、この方の絵はキャラ立ちとは反対のベクトルを向いていて、ロボットには合いません。空山基がキャラデザをしたアニメが大コケしたことがありますが、べつに絵として悪いわけではなく方向性が根本的に違うのです。
 チューリングテスト被験者たちで述べましたように、ロボットに必要なのはキャラ立ちです。それは顔ロボットSAYAみたいな方向とは違います。もちろん、基礎としてはこういう立派な研究も必要ではあるのですが。
 いくら人間に近づけようと、いや人間そのものであろうと我々はつまらん相手とは話をしたいとは想いません。よほど惹きつけるキャラを持っていないと。いまはまだ動くこと自体の面白さがその代わりを務めていますが、すぐに飽きるでしょうし、ほんとに受け入れられるためにはヲタク萌えキャラ要素が必要となります。
 半端なことをやるより、まんが家やアニメのキャラデザイナーやフィギュア原型師にデザインさせれば手っ取り早いはずなんですが。おそらくそれでもすぐにはうまくいかないでしょうが、少なくとも問題点は浮き彫りになるはずです。いまの古臭く詰まらないデザインではそれすらも判らない。つまり、ロボット開発を阻害している。
 見た目がカッコいいかどうかではなく、キャラ立ちの基盤はそこに物語が感じ取れるかどうかということにあります。それは人間の根幹に関わる問題で、ロボットというのは人間存在と智能の本質である<物語>とはいったい何なのかを探るための鏡なのです。形象や動きに<物語>を込める鍛錬を積んできた一流のヲタク作家しか磨き上げる能力は備えていないはずです。
 智能を研究するにはむしろヲタク文化のほうが主で、ロボット技術は具現化するための道具にしか過ぎないとさえ愚考しております。
 <未来>というのも時間の方向や技術の進歩のことではなく、人間だけが感じ取れる<物語>の一端です。<物語>の判らない方が何をやっても未来には到達しません。
 相澤次郎博士のこころざしを受け継いでいるのが先行者だけというのも。どうも。