絶望書店日記

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絶望書店主人推薦本
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』

冤罪、殺人、戦争、テロ、大恐慌。
すべての悲劇の原因は、人間の正しい心だった!
我が身を捨て、無実の少年を死刑から救おうとした刑事。
彼の遺した一冊の書から、人間の本質へ迫る迷宮に迷い込む!
執筆八年!『戦前の少年犯罪』著者が挑む、21世紀の道徳感情論!
戦時に起こった史上最悪の少年犯罪<浜松九人連続殺人事件>。
解決した名刑事が戦後に犯す<二俣事件>など冤罪の数々。
事件に挑戦する日本初のプロファイラー。
内務省と司法省の暗躍がいま初めて暴かれる!
世界のすべてと人の心、さらには昭和史の裏面をも抉るミステリ・ノンフィクション!

※宮崎哲弥氏が本書について熱く語っています。こちらでお聴きください。



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2002/3/29  時間を遡る旅

 絶望書店が位置する杉並区は製作会社がもっとも数多い世界のアニメ産業の中心地なんだそうでして、最近はいろんなイベントが催されています。
 24日には杉並郷土博物館という恐ろしく辺鄙なる陸の孤島で大塚康生さんのルパン三世に関する講演がありましたので、1時間掛かってえっちらおっちら歩いて行ってきました。
 「東京ムービー阿佐ヶ谷時代」とかの企画展の一環で、それなら阿佐ヶ谷、せめてバスですんなり行けるとこでやって欲しいもんだと想いましたが、東京ムービーは阿佐ヶ谷と云ってもかなりはずれの成田東、実働部隊のAプロはさらに向こうの博物館に近い堀之内にあったそうで。
 大塚さんがルパン三世の講演をするのは初めてなんだそうで、内容はだいたい識っていることばかりでしたが大塚さんは愉しそうでお話もうまく、場も盛り上がってなかなかよかったです。
 『ルパン三世研究報告書』に一部だけ載ってる一番最初の企画書の結構ページ数のある完全コピーが展示してあったので読んでみましたら、ヒッピーだとかウッドストックだとかの69年当時の時代の空気をそのままぶつけたもので、実際に作品化されたのは時代の熱の冷めた2年後でテレビでしかもスポンサーが製薬会社でそのあたりの色は薄まりましたが、そのまま映画化されていればサイケドラッグムービーになっていたかも知れず、なんせ遠藤賢司や頭脳警察なんかの名前がずらずらと並んでこれらのアーティストに一曲づつ作曲させて挿入するなんてありましたから時代を感じさせるものにはなってたでしょう。
 あんまり時代を感じさせずタイムマシンの話で年代が出るところで観るたびにあたしなんかは逆にぎょっとするくらいなんですが、根柢にはやっぱりこういうものがあったのですな。

 彼方の博物館を目指してひさしぶりに五日市街道を越えてディープ杉並のほうに分け入ってきたわけですが、まだまだ古い街並みがぽつぽつながらも残っております。
 名作の誉れ高いかの『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国』を観て違和感を覚えるのは、ケンとチャコの街とたいして変わらない装いの街のたいしてかわらない部屋にあたしくが今現在生息していることでして、つーか、あっちのほうが小綺麗で道具も揃ってるしよっぽど現代的ではないか!おまけにあちらさんは同居人までいるし、ひとりぽっちで古い時代に取り残されてるあたしはあれを観せられていったいなにをどうすれっと云うのか!
 ディープ杉並のますます古い街並みを抜けてみると『ビッグX』やら白黒『オバQ』やら『巨人の星』やらの資料が並んでる古い造りの建物があって、ここはもともと古い物を展示するとこだから戦時中の防毒マスクやら手榴弾やら古墳時代の遺物やらがあって、なんかどうも宇宙は膨張することをやめて時間が逆廻りをはじめているような気がしてきました。途中で満開の桜並木を通り抜けたせいもあるのですが。
 取り残されてるあたしの廻りだけの現象なんでしょうか。宇宙全体のことのような気もするのですが。ドラッグで頭がイカレタだけでしょうか。
 それはそれでよいような気も。