2002/12/6 考えて読め
小谷野敦氏との素敵な往復メールについてはあちこちでいろいろ取り上げられてもらっておりますが、あたしが一番のポイントだと考える佐伯順子の『遊女の文化史』が絶版に追い込まれたことに関しての言及がひとつもありませんな。
『江戸幻想批判』によって『遊女の文化史』が絶版にされるというのはもろもろよろしくない。現在の出版界はなんのチェック機能も働いていないということです。
あたしは『遊女の文化史』をそれほど高く評価しているわけではないのですが、値段分だけの価値はあると想っています。値段分だけの価値があるというのは、近頃の本としてはかなり珍しいほうに属します。
そもそも、この本はどう読んでも文学論で、歴史的に間違いかどうかをうんぬんすることに最初からまったく意味がない。文学論というより、小谷野氏云うところの「詩」と捉えたほうが的確か。
まあ、実際にこの本を史実として受けとめている者もいるみたいで、たしかにそれは問題なんですが。絶版にすれば片がつくことではない。ましてや、「遊女の平均寿命23歳」なんて根拠で絶版にされるのではなんにもならない。
絶版に追い込まれたことに反応する諸氏がいないことと合わせて、学者や編集者だけではなく読者の鈍さも極まったことを示しております。権力関係がどうしたとかいう以前の話です。
自分の頭で考える者がひとりもいないということか。もろもろよろしくない。
本というのはちったあ考えながら読まんとな。子ツバメみたいに口を開けて入ってきたものを呑み込めばいいというもんではない。
こんな調子では何冊絶版にしても追いつかんよ。書き手が少々頼りなくとも、読み手さえちゃんとしっかりしてればいいのです。
絶望書店日記 

