2002/8/6 飛鳥を殺したのは貴様か!!!!
あたくしの永遠のヒーローはやはり早川健でありまして、絶望書店主人のような輩のヒーローが早川健というのはどうにもベタな話ではございますが、こればっかりはいたしかたございません。
ファミリー劇場で『怪傑ズバット』がはじまりまして、10年ぶりくらいに観ました。いやあ、よろしいなあ。やっぱり、ええ男やわあ。
いまだに『怪傑ズバット』をギャグとして鑑賞し、あまつさえ早川健のキザな姿を嘲笑ったりしている愚か者がいるようです。真の男とは、真の絶望とはなんであるかを解することのなき、哀れむべき莫迦者どもであります。
あれほどのキザを支えているのは絶望以外のなにものでもない。謡曲の空疎にして華麗な美文の背後にある眞に深き絶望とまったき同じ絶望。
早川健のやっていることは復讐だ。つまり、過去に属した、すでに終わってしまっていることなんだ。己の眼の前でむざむざ親友の飛鳥を死なしてしまった。もう取り返しのつかないことなんだ。すでに終わってしまっていることなんだ。
終始、嫌味ったらしい余裕を見せながらキザに振る舞っている早川健は、最後に悪党を締め上げるときだけは余裕をかなぐり捨て、哭き出しそうな声で己の過去と存在のすべてを掛けて絶叫する。
「飛鳥を殺したのは貴様くわあぁぁぁ!!!!!」
悪党の答えはいつも決まっている。
「ち、違う・・・・・」
早川健はさらに咆吼する。
「そおれではあ、誰なんだあ!」
「し、知らん・・・・・」
悪党はがっくり息絶える。顔の部分だけ元に戻った早川健は、その不格好な姿で夕陽を背に受け立ち尽くす。
「飛鳥・・・・・。ここにもおまえを殺した奴はいなかった。だが、必ずやカタキはこの俺が倒してみせるぜ」
早川健はギターを抱えながらどこへともなく去っていく。
つまり、毎回、悪党を倒しても飛鳥殺しを見つけることはおろか、手掛かりさえひとつも得られないのだ。「ズバッと参上!ズバッと解決!」と云いながら、肝心のことは何も解決せんのだ。
ただ行き当たばったりに捜し歩いて、仇に辿り着くまで手当たり次第に愚直に敵を倒していくだけだ。絶対を見つけるために、相対を端からひとつづつ潰していく。絶対を手に入れるにはもっとも正しいやりかただ!
しかし、当面の敵のことは仔細に調べ上げ、そいつがサイコロや剣の達人であることをあらかじめ識っており、相手以上の技を身に着けておく。それではじめて
「おまえはすぐれた剣術遣い。だが、ニッポンじゃあ二番よ」
とキザなセリフを吐けるわけだ。あまりに正しき絶望者の姿だ!
本放送を最初に観たときまだ絶望を解さぬ子供だったあたしは途中で観るのをやめてしまった。それ以降、近所のレンタルビデオ屋に何故か途中までしかなかったために、じつは未だに最終回を観ていない。
飛鳥殺しの犯人が誰だったのか、早川健は復讐を遂げたのか、それからどうなったのかまったく識らない。
観る機会などいくらもあったのだろうが、じつに25年もうまい具合に擦り抜けてきた。識るのが怖かったのだ。
いよいよ今回は最終回を観てしまうことになるのであろうか。己の眼の前であたしの飛鳥を死なしてしまったあたしは、永遠のヒーローである早川健が復讐を終えた姿を観てどうなってしまうのであろうか。
こんなことに怯えているようでは、早川健の境地まではまだまだ遠いということか。飛鳥は死ぬわ、カッコ良さは手に入らんわではまったくわりに合わんな。
ところで、今回ひさしぶりに観て、ガキキャラが何故か最近あたしの視界にむりやり入ってくる何某にあまりに似ていることに気が付いて鬱になっている。うーん、あんな文章を書いてしまったばちなのか。ヲタク界がしっかりしていれば、あたしがあんな詰まらない文章をわざわざ書くこともなかったのに。リンクの怖さというのもあるのだな。
ガキの記憶はまったくなかったので、たぶんすぐに消えるキャラだとは想うのだが。早く消えてくれることをひたすら願うのみ。あたしのニッポンじゃあ一番のヒーロー物『怪傑ズバット』がこんなことで艶消しになろうとは・・・・・。
タイミング悪過ぎ。
絶望書店日記 

