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絶望書店主人推薦本
 
『戦前の少年犯罪』
戦前は小学生の人殺しや、少年の親殺し、動機の不可解な異常犯罪が続発していた。
なぜ、あの時代に教育勅語と修身が必要だったのか?戦前の道徳崩壊の凄まじさが膨大な実証データによって明らかにされる。
学者もジャーナリストも政治家も、真実を知らずに妄想の教育論、でたらめな日本論を語っていた!

『戦前の少年犯罪』 目次
1.戦前は小学生が人を殺す時代
2.戦前は脳の壊れた異常犯罪の時代
3.戦前は親殺しの時代
4.戦前は老人殺しの時代
5.戦前は主殺しの時代
6.戦前はいじめの時代
7.戦前は桃色交遊の時代
8.戦前は幼女レイプ殺人事件の時代
9.戦前は体罰禁止の時代
10.戦前は教師を殴る時代
11.戦前はニートの時代
12.戦前は女学生最強の時代
13.戦前はキレやすい少年の時代
14.戦前は心中ブームの時代
15.戦前は教師が犯罪を重ねる時代
16.戦前は旧制高校生という史上最低の若者たちの時代



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2001/4/6  この姉妹を愛でよ!!

 当店に『サリンジャー選集』の探求書依頼が来まして、この本ならまだ新刊で手に入るんではないかと、初めて荒地出版社のサイトを覗いてみたわけです。
 リストを見るとまだ在庫がある模様で、しかも今時一冊1200円という格安値段で売っているのですな(自社サイトだから大丈夫だとは想いますが、結構この手の表示は当てにならず、ほんとのところは各自問い合わせてください)。
 そんでまた、サイトを眺めているうちに荒地出版社と新人物往来社が姉妹出版社であることを初めて識ってしまったわけです。識らなかったなあ。
 さらにまたまた、AJ−CLUBという仲良く姉妹の頭文字を冠したらしきシステムでは、年会費1000円を徴収して、雑誌も含めて全ての書籍が10%引き、送料は無料でウェブから購入できるという、読者側にも出版社側にも結構なものがあることも初めて識ってしまったわけです。昼の2時までに注文すればその日のうちに発送して翌日には届くというから、なかなか頑張っとる。ペリカン便をつかってるらしいけど、この姉妹だけがやってる独自の販売システムなんですかね。ほかもやってるなら教えてください。
 新人物往来社のような特定ジャンルの固定読者のいる出版社にとっては、リスク無しで儲かって読者も悦ぶ、まことに賢いやり方です。雑誌を毎号買うなら会費も元が取れますし。姉妹にとっての唯一の問題は、インターネット利用者と読者層が完全には重ならない点でして(じつはある程度は重なっている)、いまのところ採算が取れてるのかどうかは怪しいですが。早川書房や創元なんかがやれば確実でよさそうなもんですけど、何でやらないんですかね。

 検索したかぎりではウェブ上ではまったく話題になっておりませんな。
 オンライン新刊書店の話題はあちこち盛んですけど、どうせ全滅するそんなシステムで本を買っても出版界全体にとって何の貢献にもなりません。むしろ、大手取次の延命に手を貸して、本の虐殺を推し進めるだけのことです。『サリンジャー選集』を買いたい読者から見事な手際で隠してしまう虐殺システムを維持するだけのことです。
 出版の行く末が心配で多少なりとも助力をしたいと考えている諸氏は、姉妹がやってるような結構なシステムで本を買うべきです。とりあえずは、話題にくらいせんかっ!!

 佐野眞一の『だれが「本」を殺すのか』とかいうのは読んでいないんですが、今時この手の本を出すとしたら半分はコミケの話になるのが当然のはずがここにある索引を見ると一言も触れていないようだからです。この著者だけではなく、編集者や登場する人物全員が生まれてから一度も本物の本を観たこともなく、本とは何であるかも考えたこともなく、ジャック&ベティかベン&ルーシーあたりに「これは本です」と指し示されたものを本だと疑わずに来たのでしょう。こういう<本のド素人>が本に携わっているわけですから、それは本も死ぬわけです。こういう方々がそろって滅んでくれたらまともな本が出てくることもあるでしょうが、どうなりますことやら。
 あらためて索引を見ると、どうもAJ−CLUBだけではなく、出版社の直販について具体的な考察がまったく無いようですな。あったとしても何が一番肝心な問題かがこの索引を作成したであろう編集者にまったく理解できていないのですから同じではありますが、まあなんせ読んでいないのですからあまり強くは云いませんが、現在の出版のブザマさを身をもって呈している一冊なのでありましょう。

 あたしが出版社から直接買えとしつこく云うのは、売れ筋以外は棚に一度も並べずにそのまま返品してしまうような販売妨害システムに余分なマージンを払う必要はないとか、小さな出版社は本屋で売れてから代金が払い込まれるまで半年もあってとても持たないから直接払ってやれとかいうことだけではありません。
 直接読者とつながることで、少なくとも創り手が<他者>になるという訳の判らんことだけはいくらかでも軽減できることこそ第一の眼目なのです。本とは何であるかを考えるようになる可能性が嫌でも増すのです。とにかく、何冊売れているかさえ誰にも判らない現在のシステムでは、どれほど優秀な創り手でも当てずっぽうに出版するしかありませんからな。編集と営業がいくら離れていようと、いまの無茶苦茶な状況よりは遥かにマシになるのです。
 AJ−CLUBの場合はもっと踏み込んで、月替わりの「バーゲンブックコーナー」があって5割引で買えたりと革命的です。話題になってないのは驚くべきことです。再販制なんて大手の出版社や新聞社だけに恩恵があるもので、この姉妹の勇気ある行動に何らかの圧力が掛かるようなら、読者は立ち上がって死守すべきです!!本の危機に真に憂える者ならば!!

 『歴史読本』なんかにはこのシステムのことは載っておらず、ひょっとすると大手の手先たる再販制支持者に隠れてこっそりとやりたいのかも知れませんが、識ってしまったことは致し方ございません。なんせ、あたくしなぞは<姉妹>と聞いただけで、好いたらしい想いがウッと込み上げてきて、もう辛抱たまりません。やはり愛でるには間に<人と人とを隔てるもの>を被せたりせずに、ナマが一番ですなあナマが!!
 皆様方にもぜひ、ナマで直接撫で廻していただきたい。撫でれば撫でるほど、姉妹の感度もますます高まることでしょう。
 本物の本が復活するにはもうこれしかございませんよ。ほかの出版社の方々も死ぬのがお嫌なら、姉妹のあとに続いて感度を磨くことですな。死にたいのであれば、無理にはおとめいたしませんが。