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絶望書店主人推薦本
 
『戦前の少年犯罪』
戦前は小学生の人殺しや、少年の親殺し、動機の不可解な異常犯罪が続発していた。
なぜ、あの時代に教育勅語と修身が必要だったのか?戦前の道徳崩壊の凄まじさが膨大な実証データによって明らかにされる。
学者もジャーナリストも政治家も、真実を知らずに妄想の教育論、でたらめな日本論を語っていた!

『戦前の少年犯罪』 目次
1.戦前は小学生が人を殺す時代
2.戦前は脳の壊れた異常犯罪の時代
3.戦前は親殺しの時代
4.戦前は老人殺しの時代
5.戦前は主殺しの時代
6.戦前はいじめの時代
7.戦前は桃色交遊の時代
8.戦前は幼女レイプ殺人事件の時代
9.戦前は体罰禁止の時代
10.戦前は教師を殴る時代
11.戦前はニートの時代
12.戦前は女学生最強の時代
13.戦前はキレやすい少年の時代
14.戦前は心中ブームの時代
15.戦前は教師が犯罪を重ねる時代
16.戦前は旧制高校生という史上最低の若者たちの時代



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2000/10/31  唯一の新刊書店、その誕生と終焉

 ウェブ上できちんとした利益を上げることのできる新刊書店の形状は、ひとつしかあり得ない。EasySeekが古書店相手にやっているようなやり方だ。つまり注文を受け付けるだけ、決済も発送も出版社にやってもらう。現物の本には一切触れることなく、データのやり取りだけで、売上げの一割をいただくというやり方だ。
 読者はどんな本がどの出版社から出ているかははっきりとは識らず、何千もある出版社サイトをいちいち廻ってもおれない。ウェブ上の直販をやっている大手出版社サイトもほとんど売上げがない由縁である。すべての出版社のデータをまとめて客の注文を一括して受けるサイト、つまり書店があれば出版社にも利益はあり、一割程度のマージンを払う価値はある。古書店はその価値を認めてEasySeekは繁盛している。
 もっとも、ただデータをまとめて注文を取るだけなら、ヤフーなどの大手ポータルのほうが適している。やはり、書評などで売上げを上げる工夫をしないと、出版社が書店と組む意味はない。

 こんなことは誰でも想いつくことで、書評.comなどというとこが出版社に対して書評を有料で掲載すると売り込んだのも似たようなことを考えてのことであろう。しかし、書評はタダと想っている頭の固い出版社に書評を売るなどというのは、ビジネスセンスが無さ過ぎる。同じようなことをやっても<書店>と云えば出版社もマージンを払う意味が判るし、いままで二割ほど取っていた書店が一割となると安いという感覚も出てくる。
 また、book-map.comの電脳書店構想も似たようなシステムだが、間にわざわざ取次や従来型の書店を置いている。ただでさえ少ない流通マージンでこんなことができるわけがない。利益をきちんと上げるには、出版社と直で結ぶしか成り立たないシステムなのだ。
 しかし、そうなると取次の親会社である大手出版社は決して参加しないだろう。ほかの中小出版社も取次から睨まれるのを恐れて参加できない。取次というのは出版社にとってほんとに怖いものらしく、天皇制以上のタブーと云われるのは大袈裟ではない。
 そうなると最初から大手取次に相手にされていない、このまま座していては倒産だけが待っている弱小出版社しか参加できないことになる。しかし、これは利点でもある。
 つまり、大規模なシステムは必要なく、個人でもできる、いや小さな儲けで充分な個人の方が有利であるわけだ。サーバ1台と手作りプログラミングでなんとかなるから、失敗したとしてもリスクはほとんどない。現在書評サイトを持っている諸氏にとっては、やることは基本的に変わらない。電脳書店構想で真ん中を抜いたものをイメージすればよいが、書評から出版社のデータにリンクを張って、注文を流せるようにするだけだ。取次を介しているオンライン新刊書店にリンクを張ったりするより、ダイレクトに出版社を支援することができるわけだ。
 版元ドットコムなんて出版社がやっているおあつらえ向きのサイトがあって、ほとんど売れていないだろうから(何の根拠もない推測なので違っていたらごめん)、こんな処と組んで実績を創っていけばいい。売れたあとに一割払うのなら出版社にもリスクはないから組まんこともないだろう。実績ができれば、ほかの中小出版社も現在の売上げは最悪なので組まざる得ないようになる。出版書籍全点は取次との関係で難しいが、数冊なら問題はないはずだ。横やりが入るかも知れんが、そうなれば彼らの守る「文化」とやらがどういうものかはっきりするだろう。
 どうせ、個人が支援したい本は数点なのでこれまた都合がいい。先に儲けを考えなければならない大規模書店は数を揃えないといけない上に結局ベストセラーを前面に押し出すしかなくなり、じつは出版社にメリットはあまりない。通常では売れないような本を個人がこつこつ売る方が、出版社も組む意味もあるだろう。

 また、本とは何ぞ?!で説いた読書系サイトの<ファウンデーション>建設にもつながることになる。電脳書店構想のように公的なシステムなどに任せるとロクなことにならんので、身軽な個人が集まってやるに限る。大儲けにならずとも、好きな本をほんとの意味で支援できて、書評がデータベース化されて読めるようになって、取次を排除して出版社の実入りがよくなって、ついでに本を読むことだけで食べていけるのならみんなに取っていいこと尽くめだ。
 絶望書店がやってもよさそうなものだが、当方が心ときめかせる新刊はこの数年一冊も出てこないので不可能なのです。商売だけで本を誉め称えるほどの器量は絶望書店主人には備わっていないのです。ぜひにも皆様方の手で・・・。

 ・・・てなことをこの絶望書店日記でゆるゆると説いてゆくつもりであったのだが、日記をはじめる前日、まさにその日にアップされたひつじ書房の10月4日の日誌を見たら、この手のシステムのビジネスモデル特許を出願したと書いてある!うぬぬぬぬ。
 いや、この人は昔からこういうことを提唱していたので、そのこと自体はいい。しかし、NTTと共同出願だとおおお?!!!!正気かあああ?!!!!!!
 ようやく大手取次の魔手から逃れる道が開けてきたというに、今度はあの膨大な数の社員に無駄飯喰わせるための金を出版界から搾り取るつもりかい?!!ウェブ上の書籍流通の支配権を握らせるだけでなく、読書系サイトさえ仕切らせるつもりなのか?!!だいたい、小難しい技術も大規模システムも不要どころか、逆に足枷になるはずなのに、なんでわざわざ共同で?!!
 あたしは新刊にはもう完全に見切りを付けているのでどうでもいいのだが、これは古書販売やコミケにも影響するような特許じゃあるまいな?!!
 なんにせよ、よりにもよって世界一コストが高くて動きの鈍い企業と組むとは・・・。NTTとなるともっと最悪のシナリオも浮かぶのだが、あまりに恐ろしくて深く考えたくない。
 これを識ったときにはさすがの絶望書店主人も眼の前が真っ暗になり、頭がくらくらしてきた。
 このシステムの命は<他者>を排除することにあったはずなのだが、最初から終焉を迎えたということなのであろう。

 あたしはあくまでもひつじ書房の日誌の一行の記述を読んだだけなので、まったく見当はずれのことを云っているのかも知れぬ。二週間待ってみたが、まったくどこにも話題になっておらず、それ以上の情報が出てこない。
 何故だ?!!これは再販制廃止やアマゾン上陸や盗聴法なんかより、百万倍も重大事ではないのか?!!
 詳細をご存じの方は教えてください。お願いします。