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絶望書店主人推薦本
 
『戦前の少年犯罪』
戦前は小学生の人殺しや、少年の親殺し、動機の不可解な異常犯罪が続発していた。
なぜ、あの時代に教育勅語と修身が必要だったのか?戦前の道徳崩壊の凄まじさが膨大な実証データによって明らかにされる。
学者もジャーナリストも政治家も、真実を知らずに妄想の教育論、でたらめな日本論を語っていた!

『戦前の少年犯罪』 目次
1.戦前は小学生が人を殺す時代
2.戦前は脳の壊れた異常犯罪の時代
3.戦前は親殺しの時代
4.戦前は老人殺しの時代
5.戦前は主殺しの時代
6.戦前はいじめの時代
7.戦前は桃色交遊の時代
8.戦前は幼女レイプ殺人事件の時代
9.戦前は体罰禁止の時代
10.戦前は教師を殴る時代
11.戦前はニートの時代
12.戦前は女学生最強の時代
13.戦前はキレやすい少年の時代
14.戦前は心中ブームの時代
15.戦前は教師が犯罪を重ねる時代
16.戦前は旧制高校生という史上最低の若者たちの時代



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2006/10/26  『炎の女 伊藤野枝伝』をいまさらながらも推す!

 せっかく広大なる領地を得て、画像もやたらと増やしたので本の紹介など。
 
 炎の女 伊藤野枝伝 岩崎呉夫 昭38年初版 七曜社 カバー痛み 2000円
大きい画像は「文学」の棚にて。※当店ではすでに売り切れ
 
 古今のあまたある本の中で、あたくしはまず第一にこの書を推します。殊に女子には読んでいただきたく。
 伊藤野枝の無茶苦茶な人生も凄いけど、それ以上にこれは本として実に良くできている。伝記文学の傑作。装丁も素晴らしい!!
 野枝はどこからどこまでわがまま勝手なだけのコギャル(死語)そのものだが、19歳で『青鞜』を受け継ぐ出版への情熱には撃たれる。また、甘粕を含めて妙な連中を惹きつける磁力は凄まじい。
 とくに木村艸太の恋文は素晴らし過ぎる!!文章の力だけでここまで見事に時空を歪め意識を変容させてしまえるものであるか!!!いい!!!!僕は今じつにいいのです!!!!!
 
 そしてまた、アナーキズムなどというご大層な理屈を捏ねながらも、野枝はわがまま勝手なだけの己の慾望を萌やし続けて、たしかに灼然として一個の世界と闘う女であり続けている。それも男や上流階級の女どもを踏み台にしてのし上がるんであるから、なんか無闇にハードボイルドタッチ。コギャル(死語)の単なるわがままがなにゆえここまで確固たる形象を為すスタイルを感じさせるのか。社会正義などではなく、ひとりの小娘の裡に萌えたる自分勝手な慾望の炎が、灼灼として興り丈高く炎上し続けるからこそなのか。
 しかも、関東大震災という拠って立つ世界の崩壊のなかで、憲兵という国家権力そのものに法を無視して虐殺されるという、女子の単なるわがままなる慾望の行く末としては望外の成果を我が身に獲得してしまう。
 じつは世界や国家のほうが巨大なるアナーキストだということを、己の命を燃やし尽くすことによって逆説的に歴史に刻み附けるんである。
 これは世界への勝利であり敗北であり、死ぬことによって両面を示してしまうんであるから、このひとりの女子のわがままなる慾望はたしかに世界と厳然として對峙し拮抗したのであった。
 
 外装が痛んでいるのでこのお値段です。何故かこの本はみんなぼろぼろの状態で出てくるのです。みなさん擦り切れるまで幾たびも幾たびも読み返すのでありましょうか。
 これだけの書が絶版であり続けるというのもまた、この世界が強大なるアナーキストであることを示しているようでまた好ましくもあります。
 捜し求めて、やはりまたこれもぼろぼろかと一冊づつ確かめて歩くのが、この十年ほどのあたくしの愉しみになっております。