絶望書店日記

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絶望書店主人推薦本
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』

冤罪、殺人、戦争、テロ、大恐慌。
すべての悲劇の原因は、人間の正しい心だった!
我が身を捨て、無実の少年を死刑から救おうとした刑事。
彼の遺した一冊の書から、人間の本質へ迫る迷宮に迷い込む!
執筆八年!『戦前の少年犯罪』著者が挑む、21世紀の道徳感情論!
戦時に起こった史上最悪の少年犯罪<浜松九人連続殺人事件>。
解決した名刑事が戦後に犯す<二俣事件>など冤罪の数々。
事件に挑戦する日本初のプロファイラー。
内務省と司法省の暗躍がいま初めて暴かれる!
世界のすべてと人の心、さらには昭和史の裏面をも抉るミステリ・ノンフィクション!

※宮崎哲弥氏が本書について熱く語っています。こちらでお聴きください。



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2004/5/31  分割して統治するかされるか

 なんか妙な話になっとりますな。
 あたしなんかがこんなことわざわざ云うまでもなく、Winny裁判はベータマックス裁判だというような話が中心になって、βの開発者を呼ぶとか、あるいは業績もブランド力も凋落の一途の家電メーカーの、爲す術もなく思考停止に陥っている可哀相な会長さんに、先端的な技術を支援するのが先端的な若者を惹き附けるブランド復活戦略のただひとつの残されし道ですよとうまい具合に騙くらかして証言させるとか、そういう方向に行くと想っていたのですが。
 Winny関係はあんまりにも言及が多いので見て廻る気力はありませんが、単純に「ベータマックス裁判」「ベータマックス訴訟」で検索した限りでは、今回の件と結びつけて話題にしている方はほとんどおりませんな。
 ナップスター裁判のときは明確に結びつけられて、その流れで米国家電協会もナップスター支援に廻りました。技術や機会をユーザーに提供することが法律違反になってしまっては自分たちが困ってしまうわけですから。
 また、家電メーカーはコピーガードがきつくなるのは自分たちの儲けにマイナスになることくらい判っておりますから、べつに落ち目のところだけではなくどこでもきっかけさえあれば支援側に付けることもできるはずなんですが。ベータマックス裁判に負けていたらいまごろどんなことになっていたかも判ってるはずですし。
 著作権が大事ということと、技術の開発者の逮捕は困ると主張することとはべつに矛盾することでもありませんので。技術が売りの企業ならごくまっとうなる主張にしか過ぎません。

 開発者の逮捕のときに、あたくしなんかはベータマックス裁判のことしか想い付かなくて、著作権やウェブの自由なんてな話はまったく脳裏に浮かびませんでした。猥褻のような形而上学的な裁判とは違うわけですから。ですから先回りしてその手の話を批判するなんてのは、特定の学者に含むところのある人々の勘繰りのようなもんだと想っておりましたが、そうでもないのですかな。
 ウェブ上でいろいろ云ってるような方々ももうそれなりにいい歳で責任を果たさねばならないような立場にもいるんでしょうから、少なくとも家電メーカーのトップにいろいろ吹き込むことくらいはできるはずなんですが。
 家電メーカーがレコード会社なんかを傘下に持ってる日本の場合は、ほんとは話が早いはずなんでして。最近日本ではじまったような音楽配信システムでは自分たちも儲かるはずがないことはさすがに親会社のほうは判っているでしょうし。コンテンツは家電を売るための道具でしかないのなら、家電メーカー以外の弱小産業のごく一部のスーツがあたかも全体をコントロールするかのような現在の状況はありえないはずで。
 要はスーツにもいろんな立場があって、弱いところ味方に引き入れやすいところを突くなんてな話になんでならないのかが不思議なことでして。一番頑迷なところに眞っ正直に文句を云うみたいなのばっかりというのはどうも。
 まず、創作者とスーツをきっちりと離反させて、その上でスーツ同士を離反させて、分割して統治するのが賢明なるユーザーであろうかと。現実には少数のスーツによって、創作者とユーザー、ユーザーとスーツ、そしてユーザー同士が分割して統治されてるという情けないことになっております。大してうまい戦略でもないのに、いとも簡単に乗せられている。

 これはもちろん個別の裁判の行方とは直接関係のない話で、逆に裁判を梃子にもうちょっと大きい範囲の流れを形成する話でして。実際の裁判は幇助がどうしたとか細かい話で専門家に任せるしかありませんので、支援しようなんてな人はほかにいろいろやれることはあるわけで。
 もっとも、その裁判の専門家のほうも経団連なんかに文章を送るなんてな迂遠かつ反対陣営の働きかけをわざわざ先廻りさせるようなことをやってるようで、だいじょうぶかいなとも想いますが。
 こういうもろもろを前提としたうえで、もし47氏が高邁で形而上学的な法廷闘争を望んだりするのなら、それはまったくの自由で。そもそも、確固たる信念を抱いた者にとって逮捕だの有罪だのは死刑にでもならない限りは大したことではありません。大阪有線の如き無茶苦茶をやれないまっとうな企業なんかが困るだけのことでして。マスコミの方々はまっとうな企業のトップからコメントを取ったりしてないのでしょうか。
 落ち目の家電メーカーはなんかの間違いでまた復活することもあるやも知れませんが、あの会長さんだけはもうほんとにこんなことしか有終の美を飾る道はないと想うのですが。人は史上最低なんて称号が死ぬまでまとわりつくよりは一発逆転を狙いたくなるもんだと想います。史上最高の経営者がやったこととなにほどかのえにしがあるのならなおさらのこと。

 ところで、ウェブ上では大阪有線についてこのページよりも詳しいところはないみたいですけど、誰かまとめておいてもらえませんかね。とくにJASRACとの攻防戦のあたりをよろしく。

 さて、あたくしはと申しますとiTunesミュージックストアあたりの中途半端なものでお茶を濁されては困るところで、もっと根源的な<メディア循環>を起こすために事態が悪化するのは結構なことだと想っております。なかなかいい具合に進行していて、なんにもしないでただ眺めております。