絶望書店日記

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絶望書店主人推薦本
●女の子向け

 
『炎の女 伊藤野枝伝』

岩崎呉夫 昭38年初版 七曜社 カバー痛み 2000円
伊藤野枝の28年間の無茶苦茶な人生も凄いけど、それ以上にこれは本として実に良くできている。とくにラストは胸締め附けられる!!女子読むべし!!


●男の子向け

 
『ニューヨーク武芸帳』

坂本正治 昭51年初版 中央公論社 並上、少カバー痛み、帯 2000円
坂本正治の痛快本!!前途渺茫たる学生さんには殊に強く推奨いたします。男子読むべし!!売切れました。


●言葉に戯れたい人向け

 
「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」
三島由紀夫『小説家の休暇』『裸体と衣裳』をも越える多彩なる思索日記。うねうねとたゆたう独特の文体もたまりませんです。



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2003/3/26  戦争の判定

 なんかまたどうでもいい情報だけが流れておりますが、絶望書店日記を御愛読の諸氏には今回の戦争の判定も依然としてサウジの行方で決まることは判っておりますでしょうな。
 米国はこれからもあちこちに手を出すことになりますが、ほかで多少失敗してもサウジに親米政権がある限り勝ちで、ほかですべて成功したとしてもサウジに反米政権ができると負けなんですよ。
 対イラク作戦は戦闘の勝敗や民主化が成功するかどうかではなく、サウジ革命への影響だけがすべてのポイントで、むしろ失敗したほうが良い場合もあるわけです。

 チューリングテスト戦争なんて適当なことを吹いても、まさか米国のあの方々がここまで観念的だとは想っておりませんでした。まるで日本で唯一のエリート教育を受けた高学歴集団である天保銭組とそっくりではありませんか。
 イラクの場合はまだいろいろと夾雑物がありますが、サウジの場合は相手がもろにイスラム原理主義となりますから、もう利権なんかはそっちのけで観念対観念だけの物語を巡る戦争となりそうです。観念的なエリートが利権を漁ってるだけなら可愛いものなんですが、本気で世の中をよくしようなんて考えたらろくな事になりません。
 かのラインバーガー博士は第二次大戦を終戦直後に振り返って、時代がひと廻りしてまたイデオロギーという宗教戦争に戻ってしまったと喝破しておられましたが、ここまで実際的な利益と関係ない不合理な戦争の時代の到来を予測していたでありましょうか。なにもわざわざ世界最大の油田の上でそんな頭でっかちな火遊びをすることもないとは想うのですが、世の中というのはそんなもんなんでしょう。
 まあ、さすがにサウジに先に米国のほうから手を出すことだけは留める人々がいるだろうとは想うのですが。はてさて。サウジがどっちに転ぶかだけではなく、サウジに手を出すかどうかが米国の政権内部の勢力争いや一般市民の心の動きを映す判定基準となります。

 あたくしのような輩には物語だけの純粋戦争というのは望ましいはずなんですが、残念ながらサウジが絡むとそうも云っておられません。石油がなくなると絶望書店も成り立たなくなってしまいますので。日本はサウジや米国がどっちに転ぼうが石油を確保するという実際的な利益の元に行動してもらわんとどうにもかなわん。サウジ革命から逆算して戦略を練ってる方が日本政府にもきちんといるとは想うのですが、なんか心配になってきたな。ひとりもいなかったりして。
 どちらか一方に賭けるようなことを云う方が多くて、しかもあたかもそれが戦略的な行動だと仰る方がいたりして困ったもんです。戦国時代なんかは二股を掛けるのが当然だったのに、なんでこんなおそまつなことになってしまったのか。一方に賭けるのがいけないと云う方も曖昧がいいとか云っておりますし。明確に一方を支持する派をふたつ用意して、裏目に出た場合はトップの首だけを斬れば済むというのが常識的な戦略でしょうに。英国は伝統的に外交がへたくそなんですが、さすがにこんな初歩くらいは理解しているようです。反戦運動を嗤っているような方もここまで判ってやってるならいいんですが。
 国連のお墨付きがあればこんな小細工も必要ないわけですから、国連というのはいかに便利な装置であるかが判るというものです。いまさら国連は幻想だなんて云う方がいて唖然としますが、天皇を戴く日本人でありながら幻想の偉大なる力が判らんとはなにごとでありますか。
 それにしてもサウジの情報はまったくないな。地道にサウジの反体制派MIRAのページでも読むしかありませんか。サウジの普通の人のブロッグなんかもあるとは想うのですが、あたしの能力では見付けられないし。MIRAの訳語さえ統一されていないみたいで、ほんとに大丈夫かいな。

 せっかく形而上学的な物語が展開しようとしているときに石油の心配をするとはさもしい話でありますが、日本はせいぜい北朝鮮脅威論なんてなすぐに化けの皮がはがれそうなちゃちい物語くらいで我慢するしかありませんか。
 現在の日本で物語を組み立てようとしている方々は天保銭組ほどの頭もないということでありまして、天保銭組は莫迦だ莫迦だと想っておりましたが考えてみればあれはあれでそこそこ偉かったのかも知れませんな。



識らなきゃよかった