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絶望書店主人推薦本
 
『戦前の少年犯罪』
戦前は小学生の人殺しや、少年の親殺し、動機の不可解な異常犯罪が続発していた。
なぜ、あの時代に教育勅語と修身が必要だったのか?戦前の道徳崩壊の凄まじさが膨大な実証データによって明らかにされる。
学者もジャーナリストも政治家も、真実を知らずに妄想の教育論、でたらめな日本論を語っていた!

『戦前の少年犯罪』 目次
1.戦前は小学生が人を殺す時代
2.戦前は脳の壊れた異常犯罪の時代
3.戦前は親殺しの時代
4.戦前は老人殺しの時代
5.戦前は主殺しの時代
6.戦前はいじめの時代
7.戦前は桃色交遊の時代
8.戦前は幼女レイプ殺人事件の時代
9.戦前は体罰禁止の時代
10.戦前は教師を殴る時代
11.戦前はニートの時代
12.戦前は女学生最強の時代
13.戦前はキレやすい少年の時代
14.戦前は心中ブームの時代
15.戦前は教師が犯罪を重ねる時代
16.戦前は旧制高校生という史上最低の若者たちの時代



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2001/9/21  チューリングテスト被験者たち

 昨日ああ云ったものの、事件直後に書こうと想ってやめてしまった文章を、プレッシャーに負けてやっぱり記しておきます。
 妙なプレッシャーを受けるのが嫌で自分のメディアを持ったと云うに、やはりプレッシャーは受けることになる。諸氏にはここにはっきりと宣しておくが、絶望書店主人はプレッシャーに極めて弱い!!罵詈雜言なら心待ちにしているんですが、誰にも浴びせてもらえんし。あんまり妙な期待は掛けないでネ。絶望書店主人からよい子のちびっ子たちへのお願い。

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 マンハッタンのテロ映像を観てほんとにショックを受けている方が大勢いるようで、あたくしはそちらのほうに驚きました。アメリカやイスラエルがアラブに対して行った爆撃や虐殺で殺された一般市民や壊された建築物は遥かに多いはずでから。
 ユダヤ系に支配された米国メディアはこれらのニュースをほとんど流していないらしいんですが(これが真実なのかどうかあたしはよく識らんのだけど、今回米国のテレビを観ているとニュースキャスターがパレスチナ人の専門家にどうして米国がここまで憎まれるのか判らないのですがとじつに素朴に訊いておりましたので、やっぱりほんとなんですかね)、日本ではそれなりに報道されていたはずなんですが。
 なにゆえ、一方の側だけに強く想い入れすることができるのか。知り合いが巻き込まれたとかいうのなら話は別なんですが。

 ディックの小説では生き物に対して感情移入をできるかどうかが、人間と機械人間を見分ける唯一の機能として扱われておりました。あたくしも感情移入というのが人間の深淵を探索するにもっとも重要なる鍵を握る不思議な能力だと考えております。
 ディックの小説では生き物に対しての感情移入だけが問題とされ、たとえ感情移入できたとしても電気羊と羊とは違うんだと書かれていたような。この十年以上読んでいないので、あんまり覚えておらんな。全然違うかも知れん。まあ、いいや。
 ところが実際には人間というのはどんなものにも感情移入ができてしまう。たとえ二次元美少女だろうが、活字の連なりでできあがった登場人物だろうが、ほんものの人間に対するのと寸分換わらぬ、いや身近な人間に対する以上の感情を抱くことができてしまうのです。そこにキャラさえきっちり立っているのなら。
 ここで想い出すのがかのチューリングテストというやつでして、人工知能がほんとに<智能>を持っているかどうかを人間に判定させるというのはじつに正しい。<智能>あるいは<意識>というのはシステムの中枢にあるのではなく、人間に対するインターフェイス部分に宿るものだとあたくしは想っております。もうちょっと穏当な云い廻しをするのなら、人間の感情移入を喚起せしむる能力が<智能>であると考えています。チューリングテストは間接的な判定法ではなく、直接<智能>を検出するための最適な方法であると。検出どころか、受け手との共犯関係がないとインターフェイスである<智能>そのものが発生しないのです。むしろ、受け手の比重のほうが大きい。
 つまりは<キャラ立ち>の問題なわけです。ためにいまAIの研究にもっとも必要とされる人材は技術者ではなく萌えキャラ造型能力のあるヲタク作家であるとあたしは真剣に考えます。人工知能研究の現状について詳しくはないのですが、キャラ造型研究(とりあえず表情をつけたとかいうレベルではなく、最高度に感情移入を喚起せしむる、つまりヲタク萌えキャラレベル)が中心になったとはあまり聴かない。商品であるはずのロボットでさえあの酷さで、またあんなものに悦んでいる受け手までいる始末で、推して知るべしでありますが。相澤次郎博士の時代から確実に退化しております。
 これは絶対的に間違っている。<キャラ立ち>はたんなる実用的な人工知能に必須な機能であるだけでなく、人間の認知を解き明かす鍵が感情移入にあることを理解していない研究者がコンピューターの研究をしても人間の認知の研究をしても無意味なんですから。<キャラ立ち>というのは認識を誤魔化すための小手先の技術ではなく、人間の根幹に触れる何かであるのです。
 はたまた、感情移入が人間の根源的な能力とするなら、チューリングテストで判定されているのは壁の向こうのコンピューターであるのか、それともこちらに座っている自分であるのか、なかなか微妙な問題ではあります。
 さらにチューリングテストの面白いところは人間とコンピューターが1対1で對峙するのではなく、壁の向こうに人間とコンピューターがいて、壁のこちら側の人間が二者の優劣を見極めるということです。これはやっぱりコンピューターではなく、ふたりの人間が試されている。
 判定者がコンピューターを人間と感じて、人間をコンピューターと感じたとすれば、そこにいるふたりの人間の<人間性>はどう判定されたことになるのか。おまけにチューリングのルールでは壁の向こうの人間にコンピューターのモノマネ(非人間化)が要請されていて、この演技にも関わらず人間と見なされたらこの人の<智能>はどう判定されたことになるのか。まったく、どう転んでも皮肉なようにできています。
 チューリングさんよ!あんたはなんちゅー恐ろしいテストを考え出したんだい!!そこまで人間に絶望していたのか。それとも、そこまでして深淵を探索、あるいはどうしても機械で甦らせたい人間がいたということか。いずれにせよ人間の根幹を完璧に見抜いていたのではないかと想わされます。

 これからはまったく新しい戦争がはじまります。参戦者だけではなく判定者さえもがつねに判定に晒される<チューリングテスト戦争>です。武力や情報戦の勝敗は項目のひとつに過ぎない、人間の本質自体を試す設問の絶え間なき応酬となる<無限チューリングテスト回路>形成です。
 欧米とアラブの各国首脳はある程度理解していて、慎重にテスト準備を進めています。いまさら軍艦を出せばいいと考えている日本政府だけが判っていない。ここで求められる戦力はたんなる情報操作のエキスパートではなく、萌えキャラと萌えストーリー造型能力のあるヲタク作家なんですが。判定者として求められる能力もヲタク魂であるのです。なんせ、アラブ人以外からイスラム原理主義に染まる輩が出てきたり、さらには新たなるインターフェイスを搭載した新たなる勢力が現れても不思議ではないわけですから。
 いや、戦争だけではなく、いまの世界は経済も技術もすべてチューリングテストで成り立ってきています。絶望書店日記でも繰り返し説いているヲタク心が問われる世界です。人間の歴史は情報化時代からさらに人間の本質に関わる次の段階に入ろうとしております。
 絶望書店主人が正しきヲタク魂にこだわる由縁であります。

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 ・・・・・・てなことを書こうかと想っていたわけですが、あらためてウェブ上を観て廻るとむしろアラブ側に同情的な人のほうが多かったりする。話の前提が崩れてしまったのでやめたわけです。まあ、それはそれでチューリングテストに絡められるわけですが、流れがぐちゃぐちゃしてきますからな。
 ウェブによっていろんな意見が視えるようになったのは結構なことですが、どうもすっきりした物云いがやりにくくなったという弊害もあるような。いや、上の文章だって充分ぐちゃぐちゃしておりますが。やっぱり、書かないと判断したのにはそれなりの理由というものがございますな。
 ほれ見ろ!プレッシャーなんぞに屈するとろくなことにならんではないか。
 「だって、地球は絶望的に丸いんだもん」というのは結構いい豫言の言葉でありました。これだけでやめておくんだった。