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絶望書店主人推薦本
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』

冤罪、殺人、戦争、テロ、大恐慌。
すべての悲劇の原因は、人間の正しい心だった!
我が身を捨て、無実の少年を死刑から救おうとした刑事。
彼の遺した一冊の書から、人間の本質へ迫る迷宮に迷い込む!
執筆八年!『戦前の少年犯罪』著者が挑む、21世紀の道徳感情論!
戦時に起こった史上最悪の少年犯罪<浜松九人連続殺人事件>。
解決した名刑事が戦後に犯す<二俣事件>など冤罪の数々。
事件に挑戦する日本初のプロファイラー。
内務省と司法省の暗躍がいま初めて暴かれる!
世界のすべてと人の心、さらには昭和史の裏面をも抉るミステリ・ノンフィクション!

※宮崎哲弥氏が本書について熱く語っています。こちらでお聴きください。



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2001/8/4  君はコパ・アメリカを観たのか!?

 今年の南米選手権(コパ・アメリカ)は、ただでさえ爆弾テロ頻発で物騒なコロンビアでの開催で大丈夫なのかいと云われていたのですが、コロンビア・サッカー連盟の副会長が左翼ゲリラに誘拐されてしまって、開幕二週間前に中止(ほんとは来年に延期ですが、半年で治安がよくなるわけもなく、W杯なんかの日程びっしりの来年にまともな大会が開けるはずもなく実質中止。最初は当然開催国変更が検討されたものの面目丸つぶれとなるコロンビアの強力な反発で中止に一旦決定。ここでまた莫大な投資をしていたコロンビアの強硬な抗議でやむなく延期に変更。この時点ですでに事態は三転以上してる)が決定されてしまいました。
 可哀相なのは唯一の目玉番組をなんとか盛り上げようと頑張ってたWOWOWで、お詫びの放送はテレビ史上に残るような荘厳なまでの悲惨さがありました。おそらくWOWOWが潰れるときもこれほど悲壮感あふれるものにはならないと想います。潰れるのは何となく判っていることですが、今回のことはなんと云っても常識を越えた寝耳に水のことでありますから。
 ところがこのお詫び放送を待ってたかのように、左翼ゲリラが「うちらもサッカー観たいけんネ」と人質を解放し、南米サッカー連盟も「テレビ局への違約金とっても高くて払えんけんネ」と、なんと!開幕一週間前に予定通りコロンビアでやることを決定してしまいました。
 おそらく乏しい予算と短い日数で全26試合生中継+再放送+関連盛り上げ番組と膨大な編成(映画50本以上を二週間で調達しないと埋まらない!)をやっと取っ替えたWOWOWもびっくりしたでしょうけど、中止になってやれやれと想っていた参加国もびっくりで、優勝候補筆頭のアルゼンチンなんかは開幕前日まで揉めたあげくに参加を辞退しました。他国も一流選手は危ないから出せないとBチームを送り込んできました。
 こりゃどうなるのかいなと想っていましたら、アルゼンチンの代わりに急遽招待された中米のサッカー無名国ホンジュラスが大活躍で、ほかの試合も胸躍らされるような素晴らしいものばかりで、二週間たっぷり堪能いたしました。
 とくにブラジルの負けっぷりはまさしく王国の凋落を知らしめるような見事なもので、今年は幾度となくブラジルの負け試合を観せられておりますけど、ここまでおちょくられたようなやられっぷりは初めてで、もちろんBチームではありましたが半分はAでコンフェデのときより遥かに貌ぶれは上、最期の名将フェリペが監督で相手がホンジュラスなだけに、西ゴート族に侵入されたローマ帝国の如き歴史の転換点を観せられたような想いがいたしました。この試合を観てない方はブラジルの落魄について決して語らぬように。
 結局、選手を揃えることのできた地元コロンビアの大会初優勝でなんだかなあという結末ではありましたが、昨シーズンの各国リーグ戦は対抗馬不在のままの順当な展開ばかりで、W杯予選では波乱がありましたけどなんだかもの悲しい内容で、全般的に低調だった年のなかでは飛び抜けて面白い大会でした。
 いや、大会前から存分に楽しめて、決勝戦なんかもテロに備えて軍隊びっしりの競技場にパラシュート男が試合中に降りてきたり(中継ではたんなるお騒がせ男だと云っておりました。たしかにセレモニーのパラシュート隊はずっと前に降りてきてましたし服装も違っておりました。ほんとのところはよく判らない。大会中止や開催国変更という当然の提案をした他国を侮辱だと怒っていたコロンビア大統領の安全をアピールするためのジョークかも知れん。コロンビアが負けてたら撃ち殺されるような場面で試合を中断させてた)といろいろあったせいでもありますが、内容も素晴らしかった。

 来年のW杯でシードされる地元日本は比較的弱いとされている中米の国と当たる可能性が高いのですが、この大会で中米の手強さは存分に観せつけられました。日本が上位進出するにはコロンビアが編み出した方式しかないのではないでしょうか。赤軍派やオウムなんかに頑張ってもらって犯行予告をしてもらう。彼らの海外での評判は国内より高いですから、強豪国や一流選手は参加辞退してくれます。
 そんなW杯で面白いかと仰るやも知れませんが、一番観たかったオランダがすでに絶望的でブラジルもかなり怪しい状態ですから大して変わりません。なによりこういう非常事態になるとマラドーナ代表復帰というウルトラCが巻き起こる可能性も。今回の大会も選手は危なくて行かなかったのにマラドーナだけは招待に応じてVIP席で観戦していたようですし。
 もっとも、日韓関係悪化でほんとにこんな具合になってしまうような気も。

 えーと、ウェブによくあるような文章で恐縮です。それぐらい今回のコパ・アメリカが面白くて、観ている人がほとんどいないようですので。ウェブ上を探し回っても観戦記がひとつも見つけられませんでした。
 まるでミッドウェー海戦の航空母艦の甲板上の整備兵の如くに度重なる事態の変転に飜弄されながらもきっちりと放送を果たしたWOWOWの努力はまったく報われなかったようでして、眞っ白のままだったテレビ誌の番組欄と悲愴なるお詫びの放送自体さえも虚しくなってしまうというその滅びの美しさを記録しておきたかったものですから。
 ドキュメンタリーを制作すれば感動的なものになると想いますよ。WOWOWは元を取るためにも潰れたあとに名を残すためにもやってみられてはいかがなものでしょうか。
 しかし、こんなようなありふれた文章を毎日ウェブに書いている方はなにが面白いんでしょうかね。あたくしにはよく判りませんね。

 
 
   





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