絶望書店日記

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絶望書店主人推薦本
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』
『冤罪と人類 道徳感情はなぜ人を誤らせるのか』

冤罪、殺人、戦争、テロ、大恐慌。
すべての悲劇の原因は、人間の正しい心だった!
我が身を捨て、無実の少年を死刑から救おうとした刑事。
彼の遺した一冊の書から、人間の本質へ迫る迷宮に迷い込む!
執筆八年!『戦前の少年犯罪』著者が挑む、21世紀の道徳感情論!
戦時に起こった史上最悪の少年犯罪<浜松九人連続殺人事件>。
解決した名刑事が戦後に犯す<二俣事件>など冤罪の数々。
事件に挑戦する日本初のプロファイラー。
内務省と司法省の暗躍がいま初めて暴かれる!
世界のすべてと人の心、さらには昭和史の裏面をも抉るミステリ・ノンフィクション!

※宮崎哲弥氏が本書について熱く語っています。こちらでお聴きください。



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2001/7/23  ウェブ二河白道

 亜樹氏が主催していた<古本屋さんに行こうよ!>を別のグループが受け継いだサイトふるほん横町が閉鎖してしまったようです。
 去年の秋にGoogleが日本上陸した時点で、すでに<古本屋さんに行こうよ!>の歴史的役割は終っておりました。亜樹氏は学業が忙しくなったからとか云っていたようですが、Googleが一般的になってきた今年の2月に運営を降りたのは、さすがにこの人は頭がいいなとあたしくは想っておりました。
 古書検索を続けてもGoogleで検索できないようにしている閉鎖的な古書店を利するだけになる。いや、べつにそれでもいいのですが、オープンな独立系古書店があとを受け継いで運営するのはやはり矛盾しております。
 この手のサイトを続ける意義があるとすれば、閉鎖的な処もすべて含めたYahoo!オークション方式のユーザー投票による店の格付けしかないだろうとあたしは視ていました。もっとも、業界すべてを危機に陥らせるほどの悪徳店もないようですし、大きな軋轢を引き起こしてまでやるほどの価値があるかどうかは疑問ではありますが。
 結局、方向性を見出せないまま崩壊してしまったようです。

 さても<古本屋さんに行こうよ!>の存在意義は絶大でした。
 Google上陸以前のほかの検索エンジンはデータ更新が反映されるまでに2,3ヶ月も掛かり、何故か引っかからないままのページがあったり、かなりいい加減でまともに役には立ちませんでした。Googleが上陸すると、ほかの検索エンジンは更新スピードも精度もあっと云う間に改善されましたが、できるんならもっと早いとこやってもらいたかったもんです。
 そんな中世暗黒時代、突如として顕現した<古本屋さんに行こうよ!>は殊に独立系古書店にとっては救世主のような存在で、いま絶望書店日記なぞを読んでいるなかにもここから辿ってきた諸氏が数多くいるはずです。
 独立系のなかでもYahoo!オークションにもEasySeekにも参加していないほんとの孤立系である絶望書店なんかには、<古本屋さんに行こうよ!>のゆるゆるの網はいい塩梅の距離感で、心地よいものがありました。

 当方がYahoo!オークションなんかに参加したら売上げが倍以上になるのは判っているのにやらないのは、己の店を出している意味が無くなると想っているからですが、近頃どうもこんな考え方も間違っているのではないかと疑念が射すようになってきました。
 よくリンクを張られるのを拒否するのはウェブの根本思想に反しているとか云う方がいて、それはそのとおりでもあるのですが、突き詰めていくと自分のサイトなんかを持つということ自体が矛盾しているような気もしてきます。
 個々が確立しているからこそ間を結ぶリンクの意味があるという考え方もあるでしょうが、しかし、情報発信は2ちゃんねるなんかでやって、商売はYahoo!オークションでやるといった具合に、完全に全体のなかの部品と化することこそ蜘蛛の巣思想に沿っているのではありますまいか。
 自己同一性融解とか云ってたのはじつのところこのことでありました。ちょうどこんな結論に達していた頃に図らずもあめぞう2000なんて大手の部品のひとつにされてしまって、つくづく考えさせられたわけです。
 本を直接売る話で珍しくよそ様にちょっかいを出したのも、なにやらウェブ書店の優位性というものをしきりにほのめかしておられる方にこのあたりのヒントをもらおうかと想ったのですが、結局よく判りませんでした。いや、ネットワークそのものの優位性なら最初から判っているのですが、それならYahoo!オークションでもいいわけですし、賢い出版社のなかにはすでにYahoo!オークションで販売しているとこもあったりします。
 いずれにしてもどこからも爪弾きでひとりぽっちの絶望書店にとっては意味のないことではあります。まあ、ひとは当てにできませんな。かと云って、完全に外界とつながりが切れてしまってもウェブ店舖として意味を為しません。
 畢竟、右は灼熱の劫火、左は渦巻く濁流というふたつの河に挟まれた細く白い道を綱渡りで歩む二河白道(にがびゃくどう)しか残されていないということです。まあ、いままでもその細い道をなんとか落ちずにやってこれたわけですが、ますます道は細く白く、これこそ蜘蛛の巣の眞の意味でもありましたか。
 桜姫東文章では堕ちるとこまで堕ちてぼろぼろのあつかいを受けていた清玄ですが、元々の話ではきちんと二河白道を渡り切ったのかどうか、近松全集なんかを読んだのは十年以上前でなんも覚えとらんな。

 絶望書店とはだいぶ立場が違うものの、2ちゃんねるもいろいろ行き詰まって新たなる展開を摸索しているようです。このスレを読んでみると、中央集権と分散とを均衡させたなかなか微妙な道を思い浮かべているようでして。
 この議論はたんなるシステム構築のコスト論のようでいて、じつは当方がぐちぐち云ってるウェブの根本原理の読み解きだったりします。やはり、考えてるひとはきちんと考えてるのね。
 それに引き替え、考えていない者があまりにも多いですな。少なくともウェブが生きる糧になっている諸氏なんかはもうちっと考えてみられたほうがよろしいかと存じます。