あたくしこと絶望書店主人は、ウェブページがデジタルではなくアナログであり、理性ではなく情動に働きかけるものであり、本ではなく巻物であることを、当然識っている。だからこそきちんと切り分けられた論理的な文章などではなく、争点が何か判らなくなるほどただ延々と紛糾し続ける掲示板やら、内容もなく区切りもなく饒舌だけが永遠に繰り広げられる日記がもっとも人を惹きつけるページであることを識っている。あたし自身もこの手のページしか読まない。
こんなことは世の中の常識だと想っていたのだが、自分のサイトでは取り上げた本を人をしてうかうかと読みたい気にさせるなかなかいい塩梅の書評を書いている諸氏が、bk1などでは書物的で硬い、つまり誰にも訴えかけることのなき無意味な文章を載せていたりして、どうもあんまり判っていない方が多いようだ。
もっとも、bk1はコラムをページで分割していたりして、まったくウェブを理解しておらず、あそこでいい文章を書いたとしても無意味であることには代わりがないのだが。ウェブの特性も本の特性も判っていない者がウェブで本を売るとは悪い冗談としか想えぬ。
こういう諸氏はいま一度マクルーハンをきちんと読み返すように。仮にもウェブ上に巣くっておりながら、パーソナルコンピューターさえ識らなかった時代の親爺に負けてるようではあまりに情けない。
もっとも、いま読まれているような本はすべて巻物調で、なかなかに話はややこしいのではあるが。
さて、そのマクルーハンよりも豊かな智識と洞察力を備えたこの絶望書店主人は、ウェブ上でも書物的な展開がありうるのではないかと研鑚を重ね、概ね成功してきたのではないかと愚考しておる。
何が書物的で、どのあたりが成功しているのかは表紙や黒薔薇の文章を判るまで幾度でも読み返せばよろしかろうが、そんな絶望書店主人がいままであえて避けてきた日記という代物をここに展開することとあいなったわけではある。
そが如何なる針路を指しているかは、諸氏がその眼で見極めよ!!遥かなる地平を!!
さても、マクルーハンよ。あんたは恐ろしいほど大した親爺だよ。あんたを甘く観る奴は本物の阿呆だな。